ニュース 社会 作成日:2019年4月18日_記事番号:T00083065
台湾では近年、養殖バナメイエビの生産量が急速に減少し、養殖業者の多くが赤字経営に苦しんでいる。生産量の減少は気候や水質の変化による大量死が主因とされる中、宜蘭県の養殖場では、気温や湿度、水質の変化に応じて自動で機器の設定を調整したり、水を交換したりできる人工知能(AI)技術の導入を進めており、エビの生存率向上に期待が高まっている。
バナメイエビは、世界で養殖生産されるエビの80%を占めているが、台湾では過去3年連続で生産量が減少しており、特に雲林県と嘉義県では年産量が8,000トンから2,500トンまで急減した。
養殖エビの生産量減少について嘉義県政府農業処の李建霖副処長は、無脊椎動物のエビは免疫機能が弱く、いったん伝染病が広がれば死亡率が容易に高まる他、気候や水質が急激に変化した際はエビにストレスがかかって病気を誘発しやすくなり、大量死が発生すると説明した。
エビの養殖業では、ベテラン従事者が経験を頼りに、肉眼で養殖池の水の色を見て水質を判断し、直感に基づいて水の交換時期を決めている。このため誰でも適切に水質を管理できるわけではないようだ。
こうした中、宜蘭県壮囲郷のあるバナメイエビ養殖場で、ハイテクを活用してエビの生存率向上を図る試みが行われている。センサーにより気温や湿度の他、水素イオン指数(pH)や塩分濃度、酸化還元電位(ORP)、溶存酸素といった水質に関わるデータを24時間監視し、数値を基に水交換システムを作動させるなど、ネットワーク化された設備を通じてタイムリーに養殖環境を調整するというものだ。
これにより養殖池では消費電力を最低限に抑えた上で適切な水質が保たれるため、生産効率の向上とコスト削減が同時に実現できる。
このスマート養殖システムを開発した昊博国際(eKpPro Solutions)は、今後、生産されたエビの数量や重さ、形などのデータを蓄積し、AIを通じてさらに養殖モデルの最適化を進めたいとしている。将来、台湾産のバナメイエビを日本で見掛ける機会が増えるかもしれない。
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