ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

中国の圧力強まる香港、台湾移民が人気に


ニュース 社会 作成日:2019年4月19日_記事番号:T00083093

中国の圧力強まる香港、台湾移民が人気に

 香港で言論の自由や政治活動に対する中国政府の締め付けが強まる中、海外への移民や移住を考える香港住民が増えている。自由な雰囲気と良好な生活環境から、台湾が移住先として選択されるケースは多いようだ。

 香港中文大学が実施した世論調査によると、香港住民の34%が「チャンスがあれば移民か移住をしたい」と回答した。30歳以下の若者に絞った場合、51%と半数を超えた。

 香港から台湾に移民して、昨年11月に台北市内で「電光影裡書店」をオープンした映画評論家の蒲鋒さん(50代)は香港の現状について「香港政府は市民のことなど考えず、選挙権も無視しており大陸(中国)と大差ない」と嘆く。言論の自由も脅かされていると感じるようになり、香港の将来に希望が持てなくなったという。

 小さいころから共に育った友人たちとも、政治的な意見の違いから対立するようになり、2014年の「雨傘革命」をきっかけに台湾への移民を考えるように。昨年2月、妻に「(移民)したいならしよう」と言われたことで決断した。

 蒲さんは現在、台北市士林区の天母地区に月4万台湾元(約14万5,000円)で部屋を借りて妻と2人暮らしをしている。香港で住んでいた地域で同じ広さの物件を借りた場合、40万元は必要だったため、台湾移住によって生活の質も向上したと語った。

 蒲さんの書店には、台湾人も多く訪れるが、香港人観光客にも人気のスポットとなっており、皮肉なことに台湾へ来てからの方が香港の友人に会う機会が増えたという。

 蒲さんの口調からは望郷の念が感じられるが、今後も台湾で暮らしていく意思は変わらない。今では北京語の他、台湾語の学習にも挑戦しており、「飲茶(ヤムチャ)を食べたいとは特に思わない。私は台湾人だ」と語った。