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太陽電池のイートン、生産停止


ニュース その他製造 作成日:2019年4月23日_記事番号:T00083120

太陽電池のイートン、生産停止

 英業達(インベンテック)傘下の太陽電池メーカー、益通光能科技(イートン・ソーラーテック)が22日、太陽電池の生産停止を決めた。昨年5月に中国政府が太陽光発電への補助を大幅削減して以降、市況が悪化した中、台湾業界では生産規模や人員の削減が相次いでいたが、太陽電池の全面的な生産停止に踏み切るケースは初めてだ。23日付工商時報などが報じた。

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 同社は、今年に入り太陽電池価格は若干の回復が見られるもの、費用削減努力もむなしく、市場価格は依然生産コストを下回り、設備稼働率の回復も見られないと説明した。このため、本田工場(台南市安南区)での太陽電池の生産停止と、既に生産を停止している南部科学工業園区(南科)の工区2カ所の売却加速で、現金流出に歯止めをかけ、財務体質の改善を図る方針だ。同社は12年連続で赤字を計上している。

 本田工場の現在の生産能力は800メガワット(MW)。このうち、単結晶裏面不動態型セル(PERC)が150MW、多結晶セルが650MW。

 生産再開はあり得るかとの質問に温清章董事長は、市況変化を見て評価をするとのみ述べた。

18年稼働率、わずか51%

 同社の昨年の設備稼働率は51%と、2016年の85%、17年の90%から大幅に下落した。

 同社は、太陽電池市場は12年以降、貿易障壁にさらされ続け、特に昨年は、▽米国の通商法201条、301条発動▽中国による太陽光発電補助の大幅削減▽インドのセーフガード発動▽欧州連合(EU)の最低輸入価格(MIP)適用終了──などが相次ぎ、川上から川下まで業界は極めて不利な状況に陥ったと指摘。市場価格の大幅下落に加え、中国が自国産業を全力で支えていることが、台湾製太陽電池の価格圧力となったと説明した。

 同社は生産停止後、在庫処分を進めるとともに、グループ全体の動きに合わせて業務転換を検討する。315人いる従業員については、在庫や資産処分の進度に応じて削減を行う方針だ。

 資産処分について温董事長は、既に仲介業者2社を通じ買い手を探しているが、競争入札により処分を加速する計画と説明した。南科工場と南科科技二路工場の帳簿上の価値はそれぞれ4億5,000万台湾元(約16億3,000万円)、2億8,000万~2億9,000万元で、処分できれば数億元のキャッシュフローが期待できる。

 同社はまた、銀行融資の返済に問題はなく、直ちに資金が必要な事態ではないと説明した。今後は6月21日の株主総会で、生産停止と資産処分案について株主の同意を求める方針だ。

 太陽電池業界ではこれまでに、茂迪(モテック・インダストリーズ)や元晶太陽能科技(TSEC)の人員削減、太陽電池用シリコンウエハーメーカーである達能科技の生産停止、および緑能科技(グリーン・エナジー・テクノロジー)の経営危機などが伝えられていた。

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