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鴻海傘下2社の中国補助金、昨年9億人民元


ニュース 政治 作成日:2019年4月24日_記事番号:T00083145

鴻海傘下2社の中国補助金、昨年9億人民元

 24日付中国時報は、鴻海科技集団(フォックスコン)傘下の2社が中国政府から受け取った補助金は、昨年だけで計9億4,200万人民元(約156億7,000万円)に達したと伝えた。郭台銘(テリー・ゴウ)董事長が2020年総統選への出馬意欲を表明した同グループと、中国政府との深い関わりを改めて示したものだ。

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 同紙によると、鴻海傘下で中国で展開する産業用モノのインターネット(IoT)事業子会社、富士康工業互聯網(フォックスコン・インダストリアル・インターネット、FII)は、2017年に4億400万人民元、18年に4億9,300万人民元の補助金を受け取った。企業育成資金、物流補助、輸出増加補助、技術更新補助などの名目で支給された。

 鴻海傘下で携帯電話の受託生産を手掛ける香港上場の富智康集団(FIHモバイル)は、17年に3億3,400万人民元、18年に4億4,800万人民元の補助金を受け取った。07~18年の累計では14億7,100万人民元に達する。

 鴻海と子会社のシャープが広東省珠海市に建設する半導体工場で、珠海市政府が1兆円規模の投資額の大半を補助金や税金減免により負担するとの見通しを、日本経済新聞が18年末に伝えたこともある。

 ただ、こうした中国時報の報道の背景には、同紙を傘下に収める台湾の食品大手、旺旺集団の中国関連会社が中国政府から11年間に合計152億6,000万台湾元(約550億円)の補助金を受け取っていたと他紙に報道されたことがある。補助金を受け取ることが台商(中国など海外で事業展開する台湾系企業)にとって一般的と報じることで、同紙が中国の手先となって台湾の世論操作を行っているとの批判を免れようというわけだ。

台商に税金還付

 中国時報系の経済紙、工商時報は、補助政策でよく見られる形態として税金還付を挙げ、多くの企業に対して一般的に行われていると指摘した。

 IC設計、聯発科技(メディアテック)傘下の中国の深圳市匯頂科技(GOODiX)は16年に1億5,500万人民元、17年に3億3,200万人民元、18年に1億7,000万人民元の税金還付を受けた。

 半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)、日月光投資控股(ASEテクノロジー・ホールディング、ASEH)傘下で、中国で展開する環旭電子(ユニバーサル・サイエンティフィック・インダストリアル上海、USI)は、17年に6,930万人民元、18年に1,225万人民元の税金還付を受けた。

 近年、中国の補助政策は、税金優遇政策から、先進技術導入など産業発展・育成のための補助に中心が移りつつある。補助金は、台湾企業を経済政策に活用することに大きな役割を果たしているが、統一という究極の目的のために台湾企業の取り込みを狙う側面も併せ持っている。

【図】