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国喬石化がプロピレン系参入、泉州を最大拠点に


ニュース 石油・化学 作成日:2019年4月26日_記事番号:T00083203

国喬石化がプロピレン系参入、泉州を最大拠点に

 国喬石油化学(グランド・パシフィック・ペトロケミカル)は25日、中国・福建省泉州市に新工場を建設し、プロピレン系石化製品の生産に参入すると発表した。総投資額は300億台湾元(約1,080億円)、2023年の試験生産開始を予定する。環境政策が厳しい台湾に代わり、泉州は同社最大の生産拠点となる見通しだ。26日付経済日報などが報じた。

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 国喬は100%出資の新会社「泉州国喬石化(仮称)」を設立し、プロパン脱水素化(PDH)によるプロピレンとポリプロピレン(PP)の一貫生産、販売に当たらせる。資本金は25億3,200万人民元(約420億円)。観測によると、1期投資後の年産量はプロピレン60万トン、PP30万~45万トンを予定する。

 国喬は今回の投資は第一歩にすぎないと説明した。将来的に計500億台湾元の投資を見込み、年産量はプロピレン100万トン、PP90万トンまで拡大する計画だ。国喬は先月、泉州市泉港区側と進出投資協定に署名している。

 同社は、大社工業区(高雄市大社区)での▽スチレンモノマー(SM)▽ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)▽ポリスチレン(PS)──などエチレン系石化製品の生産を主力としてきた。

 国喬の陳景福広報担当は、中国では今後、SM生産ラインが大幅に増加する見通しで、この分野で同社の発展余地は限られると指摘。こうした中、プロピレン系石化製品は、液化石油ガス(LPG)より得られるプロパンからPDHを通じてプロピレンを精製することで、従来型のナフサ分解に比べコスト削減ができるため、参入を決めたと説明した。中でも、PPは容器、包材など医療、食品、物流分野で幅広い用途がある。

 国喬は投資計画を5月に経済部投資審議委員会(投審会)に提出し、承認を求める予定だ。

 国喬はこの他、中国でのABS樹脂需要を好感しており、江蘇省鎮江市の奇美実業との合弁「鎮江奇美」でABS樹脂、PSを生産している他、福建省漳州市では奇美実業との合弁「漳州奇美」がABS樹脂年産能力45万トンの規模の工場への投資を行っており、将来的に年産能力60万トンへの拡大を見据える。

大社から移転を意図か

 経済日報は、都市計画用途種別の変更で、国喬の主要生産拠点である大社工業区の将来的な閉鎖方針が示されたことから、泉州への大規模な投資は国喬が新たな活路を探しているものだと論評した。

 工商時報も、台湾でのエネルギーコストの上昇、環境保護団体の反対や環境影響評価による障害、経済連携協定締結の出遅れのため、石化大手の間では東南アジア諸国連合(ASEAN)への輸出で関税が有利な中国の他、米国、シンガポールでの生産拡大、ニッチ分野への進出が進んでいると指摘した。

 高雄市都市計画委員会は3月、大社工業区を高汚染の重化学工業が使用できる「特種工業区」から低汚染の民生工業が使用できる「乙種工業区」に格下げすることを決議。国喬など進出企業は生産継続はできるものの、工場拡張や改築はできない。大社工業区全体の年間生産額は850億元に達する。

【図】