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下水から医薬品成分、新興汚染物質の脅威


ニュース 社会 作成日:2008年6月24日_記事番号:T00008330

下水から医薬品成分、新興汚染物質の脅威


 台湾人の薬好きは有名で、ちょっとした病気でも病院へ行き、大量の薬をもらうのが習慣になっている。医薬品が健康保険に占める割合は25%と、米国の15%を大きく上回っている。
 
 欧米諸国では環境汚染を引き起こす「新興汚染物質」として、抗生物質などの医薬品の存在が問題視されるようになっており、米国で139本の河川のうち、8割が新興汚染物質で汚染されていることが判明したケースもある。
 
 行政院環境保護署はこのほど、台湾人がよく服用する12種類の抗生物質と4種類の鎮痛剤が水汚染を引き起こしていないか、生活排水を処理する下水処理場、地域の下水道システム、病院、製薬工場、牧畜や養殖業から排出される汚水などをサンプリング調査した。
 
 その結果、下水処理場の生活排水には、スルファメトキサゾール、エリスロマイシン、テトラサイクリンが含まれていたほか、イブプロフェン、ナプロキセン、アセトアミノフェンといった「非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)」が検出された。
 
 なかでも高い濃度で検出されたのは、▽アンピシリン(病院の排水)▽オキシテトラサイクリンとテトラサイクリン(製薬工場、牧畜、養殖業)▽イブプロフェン(製薬工場、地域排水)▽エリスロマイシンとスルファメトキサゾール(広く分布)──の6種類。肺炎治療に用いられるエリスロマイシンの汚染は諸外国よりも深刻だった。
 
 環境保護署によると、汚水処理場では生物化学的酸素要求量(BOD)や懸濁(浮遊)物質量(SS)、化学有機汚染物質に対する水質管理が主だ。新興汚染物質である医薬品の成分は素通り状態のため、処理システムの開発が必要だという。