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子グマ解放、独占スクープに批判


ニュース 社会 作成日:2019年5月3日_記事番号:T00083328

子グマ解放、独占スクープに批判

 花蓮県で母グマとはぐれてさまよっていたところを保護された台湾黒熊(ツキノワグマ)の子がこのほど、約9カ月ぶりに野生に戻された。子グマの生活が人間の影響を受けないよう、解放地点を含め、作戦は秘密裏に進められたが、内政部の許可を受けたメディアがヘリコプターからその過程を撮影し、スクープとして報道。専門家や動物保護団体から批判を浴びてしまった。

/date/2019/05/03/20bear_2.jpg30日午前、花蓮の山間部に放された(30日=中央社)

 花蓮県卓渓郷の山中の滝、南安瀑布近くで最初に目撃されたことから「南安小熊妹仔」(メス、通称・妹仔)と名付けられた子グマは、昨年7月20日に母グマとはぐれて単独で道路を横断する姿が観光客によって撮影された。まだ乳離れもしていなかったもようで、震えながら歩く姿がメディアによって報じられるや、社会的関心を呼び、地元当局は母グマが子グマを見つけられるよう周辺道路を封鎖した。

 しかしその後も子グマは母親と合流せず、健康状態も悪化していたことから同月27日に林務局が保護。南投県の飼育施設へ移送し、台湾黒熊保育協会によって野生に返すことを前提に飼育、訓練が始まった。

 そして先月、ほぼ1歳となった子グマは体も大きくなり、健康状態も良好だったことから、元の山へ返されることが決まった。

 山に返った子グマが人間の干渉を受けることなく暮らしていけるよう、飼育チームは時間帯や地点を含め、秘密裏に子グマを解放する作戦を立てた。ところが、いざ作戦を実行する段になって、子グマを山へ搬送するため内政部空中勤務総隊(NASC)からヘリを手配したところ、「別のプロジェクトのため、壱電視(ネクストTV)の関係者2人が同乗する」との説明を受けた。

 作戦は実行されたが、なんとその翌日、壱電視は独占スクープとして、子グマが山へ返される様子を報道。これを知った台湾黒熊保育協会関係者などから「9カ月にわたり慎重に進められた保護作戦が4分間のスクープで台無しになった」と批判の声が上がった。

 壱電視は「内政部から記録するよう指示を受けて撮影し、同部との協議を基に報道を行った」と釈明。一方、NASCは「同時に行われたヘリの高高度訓練を撮影するために搭乗した壱電視関係者が、ついでに子グマを撮影した」と食い違った説明をしている。

 結局、徐国勇内政部長がフェイスブック(FB)を通じて「われわれは間違いを犯した」と謝罪する事態となった。いずれにせよ現場の担当者とのコミュニケーションの欠如がトラブルの原因となったようだ。