ニュース 社会 作成日:2019年5月6日_記事番号:T00083353
4月18日午後1時ごろ、花蓮県秀林郷を震源とするマグニチュード(M)6.1の地震が発生し、花蓮で最大震度7、新北や台中で震度5、台北で震度4など、各地で揺れが観測された。その直後に台北市の道路の修繕跡を地震による地割れと勘違いし、写真に撮影してインターネット上に拡散した男女2人がこのほど、「社会秩序維護法」違反で簡易裁判所に略式起訴された。ただ、弁護士からは「故意ではなく過失で、違法行為の構成要件を満たしていない」と指摘する声が上がっている。
台北市でも震度4を10年ぶりに観測し、驚きから転送が加速したようだ(中央社)
今回ネット上に拡散された写真は、台北市信義区松仁路沿いに建つ華南商業銀行本部ビル前の道路を向かい側のビルの上階から撮影したもので、路面に亀裂のような黒い線が見てとれた。
しかし調査の結果、この黒い線は亀裂ではなく、過去に道路にできたひび割れを修繕した際に使用した補塡(ほてん)材と判明。当時、中央災害対策センター(中央災害応変中心)で指揮を執っていた蘇貞昌行政院長は、フェイクニュースの拡散を阻止するため、デマ情報を流布した者に対する処罰が必要との考えを示した。
これを受けて、刑事警察局(刑事局)が「ニセ地割れ写真」の捜査に乗り出したところ、大手インターネット掲示板、PTTに最初に写真を投稿したのは台中市の女性と判明。さらに写真の撮影者はハイテク企業に勤める男性と突き止めた。
男性は警察の調べに対し、写真は真偽を確かめることなく対話アプリ、LINE(ライン)のグループに「道路が割れた」とのコメント付きで投稿したと説明。これが転送されて台中市の女性の元へ届き、女性がPTTに投稿したことで短時間の間に広範囲に拡散したようだ。刑事局は、2人がデマを流布し、社会を不安に陥れたとして台北地方法院簡易庭(簡裁に相当)に略式起訴した。
ただ、この対応について林富貴弁護士は、社会秩序維護法は、故意ではなく過失からデマを流布した者を処罰しないと指摘。2人の行為は「確認することなく投稿する」という過失で、故意または悪意をもってデマを拡散させたわけではないとして起訴は不当との考えを示した。
社会秩序維護法には「デマを流布し、公共の安寧に影響を与えた者」を処罰できると規定されている。翁偉倫弁護士は、警察は今回の写真によって社会に生じた市民の不安の程度が違法行為の要件を満たすかどうか明確にしていないと指摘。その上で「大砲で小鳥を撃つようなもの。資源の無駄遣いだ」と批判した。
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