ニュース 電子 作成日:2019年5月9日_記事番号:T00083413
鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は、中国の天津工場と深圳の一部工場を高雄に移転すると表明した。米中貿易戦争が再燃した中、台湾でハイエンドのサーバーやネットワーク機器を生産し、米国や日本など中国以外の市場に供給する考えだ。経済誌『天下雑誌』の報道を基に9日付経済日報などが報じた。
郭董事長は6日の訪米成果記者会見では、トランプ大統領サイン入りの新聞記事の切り抜きを見せ、米国とのパイプをアピール。親中批判の払拭(ふっしょく)に力を入れている(中央社)
郭董事長は同誌のインタビューで、1カ月以内に高雄工場の用地を決定すると語った。韓国瑜高雄市長を前回訪ねたのは、候補地を視察してもらうためで、視察後すぐに工場設置を決定したと明かした。高雄市の工場が完成すれば、ハイエンドのクラウドコンピューティング用サーバーやネットワーク機器などの生産の中心拠点になると述べた。
郭董事長は、米中貿易戦争のため、中国生産に不向きなものは台湾で生産すると語った。中国の内需向けは引き続き現地で生産するが、輸出向け生産ラインは全て移転する可能性があるとの考えを示した。
また郭董事長は8日深夜、初めてのライブ配信を行い、韓市長が目指す自由経済貿易区の設置に支持を示した。1万人以上のインターネットユーザーがリアルタイムで視聴した。
親中批判の緩和意図
微駆科技(エクスプロア・マイクロエレクトロニクス)の呉金栄総経理は、鴻海が生産移転先に選んだ高雄市では、韓市長が自由経済貿易区の設置を目指しており、外国人労働者の申請条件が緩和されれば、台湾人労働者が管理職を担うことになり、北部での就労のために流出している「北漂青年」のUターン就職を呼び込むことができ、台湾経済にプラスとなると語った。
台湾師範大学政治学研究所の曲兆祥教授は、中国での生産一極集中のリスクを分散したり、郭董事長に対する親中批判を和らげる政治的意図もあると指摘した。
「一つの中華民族」
この他、2020年総統選に向けて国民党予備選に出馬意向を表明している郭董事長は『天下雑誌』のインタビューで、日本の皇居外苑(がいえん)で花見をしていたときに、新元号「令和」から世界平和、われわれの未来を連想し、総統選への出馬を決断したと明かした。
中台による「1992年の共通認識(92共識)」、および一国二制度については、「九二共識、一中各表(一つの中国、それぞれの主張)」は一つの中華民族をベースにした一つの中華民国、一つの中華人民共和国との認識を示した。その上で、文字の表現を言い合うより、われわれは行動するべきと述べ、双方の対話が必要との考えを示した。
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