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記事番号:T00083438
2019年5月10日15:35

 経済部などが推進する台商(海外で事業展開する台湾系企業)のUターン投資促進プラン「歓迎台商回台投資行動方案」では、9日に認可投資額が早くも年間目標の2,500億台湾元(約8,900億円)を超えた。これを受けて蔡英文総統は、目標額を5,000億元に引き上げた。米中貿易戦争の再燃で、電子業界以外でも幅広い産業で制裁関税のかかる中国からの生産移転が加速するとみられ、台湾経済の底上げにつながりそうだ。10日付工商時報などが報じた。

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 今年スタートした「歓迎台商回台投資行動方案」では、これまでに52社、2,795億元の投資が認可された。就業機会2万7,000件の創出が見込まれる。さらに、40社以上が審査待ちで、目標達成は困難ではないとみられる。

 9日認可されたのは5社の投資400億元。最大額は、大手電子部品メーカーの投資330億元で、就業機会3,360件を創出する。関係者によると、このメーカーはサーバー向けや電動車向け部品を生産する上位10社以内の電子メーカーで、米中貿易戦争による制裁関税への対策として、高雄と桃園への投資を通じて台湾生産比率を引き上げる計画だ。資金は工場の拡張、設備の購入に充てられる。

 経済部を中心とした省庁横断組織、投資台湾事務所は、メーカーの要望で、中国で注目されることを避けるため名称の公表を控えたと説明した。

 同プラン利用のUターン投資認可額が最も大きいのは、先月末に認可された著名電子メーカーの547億元。業界では台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)によるものとみられている。複数の工業区、科学園区での生産拠点、研究開発(R&D)拠点増設に充てる。

 この他、従来型産業を含む幅広い産業が同プランを利用してUターンを行う。これまでの認可で金額が明らかになっている上位は、▽受動部品の国巨(ヤゲオ)、165億元▽光学レンズメーカーの新鉅科技(ニューマックス・テクノロジー)、161億元▽工業用紙大手の栄成紙業、70億元──など。

中国生産、5千品目が影響

 米通商代表部(USTR)は、10日より中国からの輸入品2,000億米ドル相当への制裁関税を25%へと、昨年9月から課徴している10%から引き上げた。沈栄津経済部長は、台商が中国から輸出する▽工作機械▽自転車▽ネットワーク関連▽電子情報製品▽自動車用部品──など5,724品目が影響を受けると分析した。

/date/2019/05/10/00top_2.jpg沈経済部長は、制裁関税引き上げで、転注と生産回帰の二大チャンスがもたらされると述べた(9日=中央社)

 沈経済部長は、中国経済の減速で、中国に直接投資する台商が悪影響を受けるとした一方、中国以外での生産で台商は転注を獲得できるとして、台湾生産への回帰に期待感を示した。一方、産業界では、米国で中国製品への扱いが厳しくなる中、中国製品の台湾での加工や偽装輸出によって、台湾製品の信頼感に疑いの目が向けられかねないとの懸念が高まっている。

 米国は昨年8月から中国製品500億米ドル相当に対しては25%の制裁関税を課している。今後の交渉次第で、残る3,250億米ドル相当を含む中国製品全てに制裁関税を課すことも検討しており、実施されれば中国で生産するあらゆるメーカーが影響を受けることになる。

【表】

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