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中国留学代行業、規定なく違法状態


ニュース 社会 作成日:2019年5月10日_記事番号:T00083459

中国留学代行業、規定なく違法状態

 台湾では2003年の「台湾地区与大陸地区人民関係条例」(両岸人民関係条例)改正を機に、中国の教育機関への留学手続き代行業が民間に開放された。しかしその後、具体的な規定を盛り込んだ関連法の整備が進まず、代行業を営む業者の摘発が後を絶たない。

 両岸人民関係条例では、中台およびその他地区の市民、法人、団体、その他機関は許可を得て中国の教育機関に留学するための手続きを代行することができ、許可の方法については教育部が定めると規定されている。

 しかし両岸人民関係条例改正後の16年間に2度の政権交代があったという事情もあり、教育部は現在も代行業の許可についての規定を制定していない。

 台湾では11年より中国での学歴が認められるようになり、現在では同国の大学・専科学校(高等専門学校)346校での就学経験が学歴として承認されている。

 台湾から中国への留学生は昨年で1万1,000人余りまで増加しており、留学手続き代行業の需要も高まっている。しかし教育部が代行業者に許可を付与するための規定を制定していない中、業務を行う業者はいずれも違法状態となっており、最悪の場合、1年以下の懲役、最高100万台湾元(約355万円)の罰金処分を受けることになる。

 00年以降、中国の教育機関への留学手続きを代行したとして84社が摘発されているが、起訴されることはほとんどない。起訴された場合も判決書に「中台の教育政策については政府の政策が大きく変化することがあり、被告を厳しく責めることはできない」といった見解が示された例もある。

 教育部は、中国側が台湾の教育機関に留学する中国人学生向けの手続き代行業を開放していない中、台湾でも現時点で開放する予定はないと説明した。一方、大陸委員会(陸委会)は、今後、代行業の開放について中国側と協議を進める必要があるとコメントした。

 しかし、留学生が悪意のある代行業者にだまされた場合、法的な保障を受けることができず、泣き寝入りするしかない状況となっている。このため、速やかに関連規定を制定するよう求める声が上がっている。