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記事番号:T00083490
2019年5月14日15:37

 米通商代表部(USTR)は13日、現在は制裁対象外の中国製品3,000億米ドル相当に対し最高25%の追加関税を課す原案を発表し、パソコンやスマートフォンが含まれた。台湾PCメーカーは、米国で再度値上げを迫られそうだ。中国の報復措置など米中貿易戦争の激化で、米国による新たな制裁案は現実味を増しており、電子業界のサプライチェーン再編を加速させる見通しだ。14日付経済日報などが報じた。

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 新たな制裁は、6月17日の公聴会後に品目を決定、早ければ6月下旬以降にも実施されると予想される。

 組み立て後のPC本体は現時点で制裁関税の対象外だが、重要部品の▽マザーボード▽グラフィックカード▽中央演算処理装置(CPU)ファン▽デスクトップPC筐体(きょうたい)──などは、関税が今回25%へと昨年9月以降の10%から引き上げられており、部品調達コストの上昇が懸念される。追加関税導入後の昨年10月には、PC大手の華碩電脳(ASUS)と宏碁(エイサー)が、米国向け一部製品で10%値上げに踏み切っていた。

 ASUSは、価格調整も選択肢で、同業の値上げ動向を注視していると表明した。同社は一部製品の生産をベトナム、台湾などに移転することや、製品構成の調整で影響低減を図る。

 一方、宏碁(エイサー)は、市場の動向を注視しているとのみ述べた。

 業界関係者は、販売チャネルでは在庫消化中のため直ちに値上げすることはないが、今後、関税上昇分を消費者に転嫁することは避けられないと分析した。

鴻海、メキシコで受託生産

 一方、デル、HPの米国勢は、鴻海精密工業のメキシコ工場が主要委託生産先であるため、値上げは小幅にとどまるとみられる。中国以外での生産や調達の動きが加速しそうだ。

ギガバイト、台湾生産比上昇

 マザーボード大手、技嘉科技(ギガバイト・テクノロジー)は、米中貿易戦争で市場価格上昇が見込まれるが、同社は現時点で▽マザーボード▽グラフィックカード▽ゲーミング(ゲーム用)ノートPC──などの値上げはせず、市場動向を見極めると説明した。北米市場向けに前倒しで出荷するとともに、昨年から台湾での生産比率を高めており、桃園市平鎮区の工場では多種少量方式で対応していると述べた。

iPhone価格転嫁も

 一方、アップルのiPhoneへの影響について、モルガン・スタンレーのアナリスト、ケーティー・ユベルティ氏は、追加関税25%課徴でiPhone XS(テン・エス)販売価格は160米ドル上昇すると指摘した。米国販売が減少した場合、組み立てを担う鴻海や和碩聯合科技(ペガトロン)など台湾サプライチェーンに影響が出る。

 日本経済新聞はUSTR高官の話として、iPhoneサプライチェーンは中国での組み立てが前提となっており、鴻海のインド生産計画も、直ちに中国に匹敵する工場を建設することは難しいと伝えた。

 米シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所は、これまで実施された制裁関税では最終製品の比率は20%にとどまっていたが、次の新たな制裁関税では40%に高まると指摘した。制裁リスト案には、情報技術(IT)製品の他、衣類、靴、玩具など日用品が幅広く含まれる。

【表】

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