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記事番号:T00083513
2019年5月15日15:44

 米国が早ければ6月にも、中国への制裁関税第4弾としてノートパソコンなど3,000億米ドル相当に対し最高25%の関税を課す見通しとなったことを受け、台湾の電子機器受託生産業界への打撃が懸念されている。ノートPCは、サプライチェーンが未整備なため東南アジアへの生産移転は困難で、台湾への生産回帰も高コストに見舞われる。粗利益率が既に低水準のため、各社は経営への影響を極小化すべく頭を悩ませている。15日付工商時報などが報じた。

/date/2019/05/15/00top_2.jpg林董事長(左)は、顧客のPCブランドが関税コストを引き受けざるを得ないと指摘した。右は梁副董事長(14日=中央社)

 米国の第4弾制裁リストには、▽ノートPC▽スマートフォン▽装着型(ウエアラブル)端末▽タブレット端末──など消費者向け電子製品を含む、現在は制裁対象外の品目のほとんどが含まれている。

 広達電脳(クアンタ・コンピューター)の林百里(バリー・ラム)董事長は14日、米中貿易戦争への対応で最大の課題はサプライチェーンと指摘。消費者向け電子製品は、最終製品の組み立てだけを東南アジアに移転しても、移転コストと部品輸送コストが関税上昇分を上回ると述べた。また、消費者向け電子製品の生産には大量の労働力が必要で、募集も容易でないとみている。

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 東南アジアには電子部品のサプライヤーは各国に分散しており、目立った集積拠点がない。このため、ノートPCの生産では、サプライチェーンが整備された中国東部や重慶市の方が理想的だ。

 クアンタの第1四半期の純利益率は1.4%だった。林董事長は、高利益のクラウド製品を含んだ数字であり、ノートPC受託生産の粗利益率はこれ以上下がらないほど低いと述べ、制裁関税分の吸収には難色を示した。

台湾生産、消費者向け困難

 クアンタは、米国が昨年8~9月から実施した第1~2弾の制裁課税措置への対応として、既にハイエンドのクラウド用サーバー製品の生産を台湾に移転している。林董事長は、消費者向け電子製品の台湾移転は、低い単価、高い生産コスト、労働力不足のため適当でないとの見方を示した。

 梁次震副董事長は、生産移転は最終的に顧客が決定するため、クアンタはさまざまな条件を想定して準備を進めると説明。同社が受託生産するノートPCのうち米国への輸出比率は3分の1程度で、生産移転はこのうち一部にとどまるとみている。東南アジアへの生産移転には、まだ一定の期間が必要との見方だ。

同業大手も苦慮

 同業の仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)は、ベトナムでの生産を再開する計画だが、サプライチェーンの確保に苦心している。

 和碩聯合科技(ペガトロン)は、ベトナムやインドへの生産移転を検討中だが、年内の量産入りは困難との見方だ。同社は1月、ネットワーク製品についてはインドネシアのバタム島に移転し、出荷を開始した。

 英業達(インベンテック)は、ノートPCが制裁関税の対象となれば、一時的に台湾での生産で対応するが、労働力確保は難しく、長期的な対応策を顧客やサプライヤーと協議すると説明した。

 経済部の王美花政務次長(次官)は、第4弾の制裁関税が実施されれば、鴻海精密工業を含む受託生産大手5社への影響は大きいとして、台湾への生産回帰、東南アジアなど新南向政策対象国への生産移転などに際し、必要な支援を行うと表明した。

 一方、緯創資通(ウィストロン)は、▽フィリピン▽北米▽チェコ──と世界各地に生産拠点があり、影響は最低限にとどまると説明した。

【表】

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