液晶パネル前工程の中国投資開放に関する経済部の方針が明らかになった。当初は7インチ以下を認可対象とし、中期で5.5世代工場、4年内の長期で6世代工場と、3段階に分けて開放を進める。6世代工場の中国投資は、台湾の先端工場での量産を条件とする、半導体と同様の方針で臨む。早ければ7月にも発表される。24日付工商時報が報じた。
先週の株主総会で、旧型ラインの使途は十分と表明した友達光電の李焜耀董事長。中国で一貫生産が実現すればコスト面は魅力だ(中央社)
第1段階の開放対象として計画されている7インチ以下のパネルモジュールの前工程製造プロセスには、ガラス基板の切り出し、パネル生成、液晶注入などの作業工程が含まれる。また、中期の開放対象である5.5世代工場の中国投資を実行する場合、台湾でも相応の投資が行われていること、および投資計画前の従業員数を維持することを求める。
第1段階、および中期の開放の実施スケジュールは実際の状況をみて調整する考えだが、長期の開放スケジュールは4年を実現目標とし、6世代工場の投資を認可する。これには台湾で8世代以上の工場での量産が連続で6カ月に達していることや、中国での投資事業の主導権を台湾側が保持することなどが条件となる。なお、7.5世代工場はまだ台湾にも2基しかないため、当面は開放を見合わせる。
投資の切迫性は希薄?
初めて明らかになったパネル前工程の中国投資開放計画について工商時報は、「半導体業界と異なり、パネル業界は急いで中国で前工程ラインを設置しなければならない切迫性は薄いが、グローバル競争の中で規制を取り払う姿勢は良いことだ」と論評した。
同紙によると、半導体業界は日本、台湾、韓国および欧米の大手企業が市場を競っていて、中国市場は「進出しなければ他国の企業に奪われてしまう」という危機感がある。
しかし、パネルは日韓台と中国のメーカーのみが生産を行っているいわば「アジア限定」の産業で、台湾メーカーが一定以上の影響力を持っている。日韓メーカーも中国進出に当たっては、台湾メーカーの動きを見てから決定する可能性が高いという。
各社が独自戦略で展開
台湾の大手パネルメーカーは、大部分が既に中国に後工程モジュール工場を設けている。また、奇美電子(CMO)が台湾系で世界最大手の液晶モニターOEM(相手先ブランドによる生産)メーカー、冠捷科技(TPVテクノロジー)と資本提携したり、中華映管(CPT)が中国3大液晶テレビブランドの1社である廈華電子(Xoceco)と提携するなど、それぞれ独自の方針に基づいて中国でのビジネスを展開しており、この面からも直ちに自社ラインを設ける必要性は高くないと工商時報は指摘している。
0.13プロセス開放へ
なお、経済部はパネルと同時にウエハーファウンドリーやパッケージング・テスティング(封止・検査)、ナフサプラントなどの投資開放も同時に発表する方針のようだ。このうちファウンドリーは、0.13マイクロメートル製造プロセスの投資が開放される可能性が高い。また、封止・検査とナフサプラントは完全開放の可能性を検討しているが、IC設計は開放を見送るという。