ニュース 社会 作成日:2019年5月21日_記事番号:T00083640
視覚障害者の男性が4年前、台北市内のマクドナルドでトイレを借りた後、店を出る際に、自動ドアに頭を挟まれて負傷した。男性は台湾マクドナルドと店長を消費者保護法(消保法)違反で提訴したものの、店側は「商品を購入しておらず、消保法の対象には当たらない」と反論した。裁判官は、消保法における消費者とは、金銭の支払いとは関係ないと判断し、慰謝料など20万8,430台湾元(約73万円)の支払いを命じた。
2015年5月のある日の夜、男性は妻子と外出し、マクドナルド石牌店(台北市北投区)でトイレを借りた。用を足して店を出る際、男性はまず、つえで自動ドアが開いていることを確かめてから足を踏み出した。ところが、ガラス製の自動ドアが閉まり、頭を両側から挟まれた。
男性は、頭にドアがぶつかった衝撃は3キログラム近く、ひどい恐怖を感じたと語った。その後、視覚障害が悪化した上、脳振とう、目まい、パニック障害、自律神経失調症の症状が出るようになった。そこで、男性は台湾マクドナルドと石牌店の店長を相手取り、医療費や慰謝料など計321万元を求める裁判を起こした。
男性は、同店入り口の自動ドアは外側に赤外線センサーがあるが、内側には感圧式センサーしかなく、障害者にとって危険な状態だったと指摘。マクドナルドに施設の安全性の維持・管理の不備があったとして、消保法の規定に違反していると主張した。
これに対しマクドナルドは、自動ドアの脇にセンサーを設置しており、何かが挟まると、直ちに自動ドアが開くようになっていると反論した。妻が付き添っていなかったのは心身障害者権益保護法違反であり、しかも男性は同店2階のトイレを使用しただけで、何も商品を購入しておらず、消保法の消費者に該当しないと主張した。
裁判官は、マクドナルドは安全な環境を提供する責任があり、同店の自動ドア脇のセンサーは一定以上の身長の人間しか感知せず、視覚障害者のつえを感知しないので、上部にもセンサーを増設すべきだったと指摘した。また、消保法における消費者とは、金銭の支払いとは関係ないとの解釈を示した。これらにより、マクドナルドは安全な環境を提供しなかったことが消保法違反に当たると判断され、医療費や慰謝料など20万8,430元を支払うよう命じた。
ただ、ある弁護士は、トイレを借りただけで消費者と認める判断に疑問を投げ掛けた。インターネット上では、商店が障害者の立ち入りを嫌がるようになるのではと懸念する声も出ている。
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