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礁渓温泉に大手ホテル続々、負け組は淘汰


ニュース 社会 作成日:2019年5月22日_記事番号:T00083666

礁渓温泉に大手ホテル続々、負け組は淘汰

 温泉地として知られる宜蘭県礁渓では、台北と宜蘭を結ぶ北宜高速公路(国道5号)の雪山トンネルが開通した2006年以降、観光客増加を当て込んで宿泊施設の開業が相次いだ。ところが近年、中国人観光客や台湾人観光客が減少したことで、規模が小さく、設備が古めのホテルは競争に敗れ、今年だけでも6軒が営業を終了した。一方で大手ホテルの新規参入が相次いでおり、既存ホテルは危機感を強めている。

 礁渓は平野部にある温泉地、雪山トンネル開通に伴い台北市内からの所要時間が短縮したことで人気が上昇。ホテルは昨年末で117軒と、06年比で27軒増加し、客室数は67%増加した。

 しかし、中国人観光客が激減した上、台湾人観光客も軍人・公務員・教職員(軍公教)の年金改革を背景に減少。昨年の観光ホテルの客室稼働率は51%と、ピークだった14年の72%から大幅に低下した。一般ホテルは客室稼働率45%前後を推移している。

 こうした中で、大手ホテルグループが続々と参入している。寒舎餐旅管理顧問は17年11月、同社初の国際リゾートホテル「礁渓寒沐酒店」を開業した。福華大飯店(ハワード・ホテルズ・リゾーツ・スイーツ)傘下の福泰飯店集団(フォルテ・ホテル・グループ)は昨年5月、高級リゾートホテル「礁渓山形閣温泉飯店」をオープン。雲朗観光(LDCホテルズ&リゾーツ)は昨年9月、兆品酒店礁渓(メゾン・デ・シン礁渓)をオープンした。

 寒沐酒店の呉欣蓉シニアマネジャーは、「内装にアートを取り入れるなど、独自色を打ち出して差別化を図っており、客足は安定している」と語る。

 雲朗観光は今年第3四半期に、20~30歳の若者層をターゲットとする「品文旅(ホテルPIN)」ブランドのホテルを開設する予定だ。年間延べ70万人が訪れる礁渓温泉公園から徒歩約3分の好立地で、初年度の客室稼働率60%を目指す。

 相次ぐ新規参入について、ある既存ホテルは「市場規模が拡大する」と楽観的な見方だが、別の既存ホテルは、宿泊客が奪われ、客室稼働率が2~3割低下したと悲鳴を上げている。

 専門家は、北部から訪れる台湾人観光客は既に上限近いので、外国人観光客を開拓したり、宜蘭県内の民宿約3,000軒の約半数を占める違法民宿を駆逐しなければ、ホテルの客室稼働率は回復しないと提言した。