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記事番号:T00083822
2019年5月31日15:49

 米国が中国の通信設備大手、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)に対して事実上の禁輸措置に出た中、沈栄津経済部長は30日、第5世代移動通信(5G)とその次の世代の通信規格では、欧州勢と協力を強化する方針を示した。台湾メーカーにとっては、ファーウェイに代わってシェア拡大が見込まれる欧州の通信機器大手からの受注獲得に有利となり、5Gの応用開発への関与を強めることも期待できる。31日付自由時報などが報じた。

/date/2019/05/31/00top_2.jpg沈経済部長。ファーウェイが排除される局面の転換に、迅速に対応する構えだ(30日=中央社)

 世界各地で今年から来年にかけて相次いで商用サービスが始まる5Gでは、先進諸国を中心にファーウェイのインフラが排除され、受注がエリクソン(スウェーデン)やノキア(フィンランド)に向かうとみられている。

 沈経済部長は、台北市で開かれた「台北5G国際高峰会(台北5Gサミット)」の会場で、欧州連合(EU)との間で5Gとビヨンド5G(5Gから6Gへの過渡期での利用が見込まれる中間規格)分野での協力拡大を進めると述べた。また、スマート工場、ドローン(無人航空機)などの応用では、10月からEUとの協力計画をスタートさせ、世界的な大手メーカーと台湾の5G業界サプライヤーとの提携を促す方針だ。

 経済部は、5G実験エリアを3案件で設置することを決めており、台湾企業の応用開発を支援していく。このうち、台北南港展覧館(台北市南港区)では拡張現実(AR)や3次元(3D)ナビゲーションなど、三軍総医院(三総、台北市内湖区)では複合現実(MR)を利用したスマート医療を検証する。また、5Gを応用した半導体分野の点検業務の実験エリアは新竹地区に、石油化学分野では雲林県に設置される見通しだ。

IEEE、ファーウェイ排除か

 一方、5Gなど無線通信分野の標準規格策定に関わってきた専門家による国際的組織、IEEE(アイ・トリプル・イー、本部・米国)は29日、同組織の機関誌など出版物の編集業務からファーウェイの従業員を排除する方針を決めた。米国によるファーウェイへの制裁措置を順守するためだ。IEEEの出版物は標準策定に大きな影響力を持つとされ、各国の標準化組織などによる移動通信分野の標準化プロジェクト「3GPP」での5Gフル仕様「リリース16」の策定作業で、ファーウェイの影響力が低下する可能性がある。「リリース16」は来年3月にも発表される見通しだ。

 台湾では、来年12月にIEEEの重要カンファレンス「グローブコム(GLOBECOM)」が開催されることが決まっており、5G応用やビヨンド5G仕様策定に対して台湾の関与を強めることが期待できそうだ。

規格分裂、コスト増の懸念も

 一方、米投資銀行のジェフリーズ・ファイナンシャル・グループは、IEEEの措置で「リリース16」策定完了が遅れる可能性があり、世界の5G発展に不利となると指摘した。また、中国が独自の5Gネットワーク構築に乗り出し、5G規格が分裂することになれば、コスト上昇につながると懸念を示した。

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