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記事番号:T00083928
2019年6月6日15:53

 ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の劉徳音(マーク・リュウ)董事長は5日、稼働率低下のため中国・南京工場での生産拡大の延期を検討していると明らかにした。米国の制裁措置の対象となったスマートフォン大手、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)からの受注が減少したためだ。米中貿易戦争が再燃した中、同社は米国での生産も選択肢に入れている。6日付経済日報などが報じた。

/date/2019/06/06/00top_2.jpg劉董事長(中)。創業者の張忠謀(モリス・チャン)氏が昨年退任した後、初めて株主総会を主宰した(5日=中央社)

 劉董事長は、ファーウェイが在庫を積み増しているとの報道について、TSMCの年初来の受注状況からみて、ファーウェイ向け需要は減少していると指摘した。ハイエンドスマホ全体の需要減退もあり、南京工場の稼働率には余裕があるため、生産拡大のペースを落とす計画だ。2018年に量産に入った南京工場の月産能力は現在、12インチウエハー換算で1万枚。従来計画では、19年末までに1万5,000枚、20年末までに2万枚への生産拡大を予定していた。

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 劉董事長はまた、米国での投資構想を明らかにした。具体的な計画ではないものの、米国での工場設置や半導体メーカーの工場買収を検討している。米国での生産は、コストが台湾並みに下がることが条件で、依然として台湾が主要投資先と研究開発(R&D)拠点であり続けるとした。

 劉董事長は、来週ワシントンで開かれる「セレクトUSA投資サミット」への出席を予定しており、米国投資構想に具体的な進展があるか注目される。

 劉董事長はまた、米国にある傘下の8インチファウンドリー、ウエハーテックについて、従業員数が現在の1,000人余りから増加するとの見方を示した。

金融危機ほどの衝撃なし

 劉董事長は米中貿易戦争について、経済成長の減速で消費者製品向け半導体需要が減速し、受注状況に影響するものの、現段階では08年の世界金融危機当時ほどの衝撃はないと分析した。一方、今年の世界経済成長率は2.7%を下回る可能性があるとみている。

 劉董事長は業績見通しについて、下半期に向け成長基調で、上半期と前年同期を上回るとの見方を維持しつつ、現時点では不確実性が高いとして、7月中旬の業績説明会で説明すると述べるにとどめた。TSMCを巡っては、通年売上高予測を下方修正するとの観測が出ており、9年連続の成長に終止符が打たれる懸念がある。

 劉董事長は、下半期はスマホ新機種や第5世代移動通信(5G)向けの7ナノメートル製造プロセス製品が成長エンジンとなるとみている。中長期的には人工知能(AI)向けや試験生産が始まった5ナノ製造プロセスの採用拡大に期待を示した。

米国輸出規制対象はなし

 劉董事長は一方、米国によるファーウェイへの輸出規制措置を受け社内で評価を進めた結果、輸出規制の対象となる製品はなかったと説明した。現時点で米商務省からの問い合わせはなく、ファーウェイへの出荷は継続する方針だ。

 米国の輸出規制措置は、製品に採用される技術の25%以上が米国原産の場合も対象となる。TSMCは、自社で研究開発を行っている他、原材料はアジアからの購買が主のため、米国製比率が比較的高い製造設備を加味しても、ファーウェイ子会社の深圳市海思半導体(ハイシリコン・テクノロジーズ)に出荷する製品の米国原産技術の割合は25%を超えないと公表している。

【表】

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