ニュース 社会 作成日:2019年6月11日_記事番号:T00083999
トウモロコシなどの農作物に壊滅的な被害を及ぼすことから「食糧の殺し屋」とも呼ばれる害虫「ツマジロクサヨトウ」(中国語名・秋行軍虫)がこのほど台湾で初めて確認され、行政院農業委員会動植物防疫検疫局(農委会防検局)は被害の拡散防止に向け、直ちに緊急防疫措置を講じた。
見付かったツマジロクサヨトウ。農業従事者からは、被害が広がった場合、鳥インフルエンザよりも対応が面倒と恐れられている(10日=中央社)
ツマジロクサヨトウは米大陸の熱帯や亜熱帯地域を原産とするガの一種で、成虫は一生に2,000個の卵を産む高い繁殖力を有する上、気流に乗れば一気に約200キロメートル飛行できる移動能力も備えている。
2016年にアフリカへの侵入が初めて確認された後、同地域のトウモロコシ、小麦、キビ、稲、大豆、ジャガイモなどに幼虫による甚大な食害が生じていると報じられた。
さらに18年には東南アジア、今年1月には中国南部で確認されるなど、急速に生息地と被害が拡大しており、国連食糧農業機関が各国に警戒を呼び掛けている。
こうした中、防検局は10日、苗栗県の観光農場「飛牛牧場」で今月8日に、農場内で栽培するトウモロコシからツマジロクサヨトウの幼虫と疑われる虫を発見した報告を受け、DNA検査を行ったところ同種と確認された。現時点で中国・華南地域から南西気流に乗って台湾へ侵入したと分析されている。
防検局は被害の拡大を未然に防ぐため、飛牛牧場のトウモロコシを全数埋設処分した他、周辺にフェロモンで誘引する方式の害虫駆除装置を設置した。さらに、ツマジロクサヨトウの流入を水際で食い止めるため、中部を中心に港湾や空港など台湾全土500カ所にも装置を設置、緊急駆除用の殺虫剤11種を公表した上で、農業従事者に田畑のパトロールを強化し、異常を発見した場合はすぐに通報するよう呼び掛けた。
防検局によると、ツマジロクサヨトウが好む農作物は、台湾の主要農作物の作付面積の45%を占め、生息が拡大すれば損失は年間35億6,000万台湾元(約123億円)に上ると懸念されており、万全の対策が求められている。
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