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台北市のワンルーム家賃、初任給の7割消える


ニュース 社会 作成日:2019年6月12日_記事番号:T00084027

台北市のワンルーム家賃、初任給の7割消える

 台湾では間もなく卒業シーズンを迎え、多くの学生が初めて社会に出る。しかし、台北市で就職し、市内に部屋を借りて通勤する場合、初任給の約7割が家賃に消えるという厳しい経済状況に直面することになる。

 行政院主計総処の統計によると、20~24歳の平均月収は2万7,635台湾元(約9万5,000円)で、新社会人の64%は月収3万元以下だ。

 一方、不動産価格比較サイト「屋比房屋比価(Ubee)」の統計によると、台北市では新社会人が借りることの多い「套房」(シャワー、トイレ付きワンルーム)や「雅房」(間借りのワンルーム)といった物件の1坪当たり賃料は平均1,688元、市中心部となると1,836元まで上昇する。市中心部で10坪の物件を借りた場合、平均月収の約66%に相当する1万8,000元余りを家賃として支払うことになる。

 こうした中、台北市ではここ3年ほど、「蟻居房」(アリの住む部屋)と呼ばれる広さ3坪以下の狭小物件が急速に増えており、現在、インターネット上に情報が掲載されて借り手を待っている同様の物件は147件と17年に比べ35%増加した。

 屋比房屋比価の創業者、葉国華氏は「蟻居房」の増加について、「低賃金、住宅価格と家賃の高騰が原因」と指摘。「蟻居房は狭いだけでなく日当たりや通気、防音の面でも条件が劣悪で、長期間居住すれば身体的、精神的に悪影響が出る恐れがある」と語った。さらに「大部分の蟻居房は消防設備や避難経路の設計が基準を満たしておらず、火災が発生すれば命に関わる危険性がある」と注意を呼び掛けている。

 市内に住む若者は、友人とルームシェアを行ったり、職場まで徒歩で通える物件を借りて交通費を節約したりするなど、少しでも経済的負担を軽減する方策を講じている者も多いようだ。ただ、物件選びの際は、安全面だけはおろそかにしないでほしい。