ニュース 社会 作成日:2019年6月18日_記事番号:T00084133
香港の「逃亡犯条例」改正反対の大規模デモを受けて、台湾で「一国二制度」への拒否感が改めて強まる中、中天電視(CTI)の政治討論番組でキャスターを務める黄智賢氏(女性)が16日、中国・アモイ市で開かれた「第11回海峡論壇」に出席し、「中台の統一は必然」など一国二制度を支持する講演を行った。黄智賢氏は民進党籍の台南市長、黄偉哲氏(55)の実妹だが、政治的立場はまるで正反対だ。黄市長のフェイスブック(FB)には「妹を何とかしろ」との批判が続々と寄せられた。
黄智賢氏。最近は自身の番組で、香港の抗議デモに参加した市民を「頭がおかしい」と批判し、非難を浴びていた(16日=中央社)
黄智賢氏は台南市出身で、民主化運動を支持する家庭で育ち、民主化や権力への抵抗、弱者への支援には共感を抱いていたものの、他の家族とは違って強い中国人アイデンティティーを持ち、台湾独立思想には早くから反感を抱いていたという。2006年から政治討論番組に出演、15年にキャスターを務めるようになったが、中台統一、一国二制度支持の立場は明確で、独立派に猛烈な批判を加えていた。
一方、兄の黄偉哲氏は民進党内で早くから頭角を現し、立法委員を4期務めた後、昨年末に台南市長に当選。同党の次世代リーダーの1人と目されている。
黄智賢氏は「海峡論壇」の講演では、習近平中国国家主席が今年1月に発表した、一国二制度を含む5項目の対台湾政策、いわゆる「習5条」に対し「将来的な国家統一の道筋を示した」などと称賛。「われわれの世代で台湾を中国に連れ戻さなくてはならない」と強調し、「一国二制度は台湾に対する最大の思いやりであり尊重だ」と訴え、15分の講演で会場から10回にわたって大きな拍手を浴びた。
この発言が台湾で報じられると、インターネット上では「完全に中国共産党の犬となった」といった批判が巻き起こった。さらに黄市長のFBページにも「妹が台湾を裏切っているのを知っているか」「妹をきちんと管理しなければ次の市長選では支持しない」などの非難コメントが相次いで書き込まれた。
黄市長は17日、「肉親といえども私と妹の政治的立場や主張が全く異なることは多くの市民が知っている。このために非難されることは受け入れ難い」と表明した。かつて黄智賢氏が国民党の会議で民進党を批判するスピーチを行った際は、きょうだい関係を絶つことを新聞広告で発表しようと考えたが、母親が悲しむと思って取りやめたそうだ。今は「妹の発言には同意できないが、成人なので尊重する以外にない」との立場に徹している。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722