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エバー航空が無期限スト、2万人に影響


ニュース 運輸 作成日:2019年6月21日_記事番号:T00084192

エバー航空が無期限スト、2万人に影響

 航空大手、長栄航空(エバー航空)の客室乗務員が加盟する労働組合が20日午後4時、突如無期限ストライキに突入した。きょう21日は日本路線を含む約半分の79便、22日までの3日間では計136便が欠航となり、2万人以上の足に影響するとみられる。利用客の都合を顧みない突然のストに対しては、怒りの声が多々寄せられている。21日付経済日報などが報じた。

/date/2019/06/21/00eva_2.jpg組合側は桃園市のエバー航空本社ビルに集結。デモに反対する従業員との間で小競り合いも発生した(20日=中央社)

 エバー航空でストが行われたのは今回が初めて。同社は1日に2回、最新の運航状況をホームページ(https://www.evaair.com/ja-jp/emer/strikeinfo.html)で発表する。

 国際・中国路線のうち、20日は台湾出発便16便、到着便3便、域外路線1便の計20便が欠航した。21日は出発便46便、到着便32便、域外路線1便の計79便、22日は出発便10便、到着便25便、域外路線2便の合わせて37便が欠航となる(日付は域外路線を除き台湾出発・到着日基準)。

 傘下の立栄航空(ユニー航空)が担当する離島などの台湾域内路線には、現段階では影響は出ていない。

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 ストにはエバー航空の客室乗務員の約4,500人のうち、客室乗務員の労組、桃園市空服員職業工会に加盟する約1,400人以上が参加した。エバー航空は出勤奨励金を支給することで客室乗務員の確保に努めている。

 交通部は、中華航空(チャイナエアライン)などに増便や大型機使用などの協力を求めた他、エバー航空が加盟するスターアライアンス各社への振り替え輸送を想定している。台湾域内路線に影響が及んだ場合、海運業者や軍の飛行機で支援に当たる考えだ。

利用客軽視に批判

 エバー航空は、手数料免除でのキャンセル、日程の変更受け付けなどの対応をとっており、桃園国際空港では手続きに長い列ができた。ある利用客は、わずか2時間前のスト発表に不快感を示し、今後同社は利用したくないと語った。

 21日付聯合報は、今回は労使双方がストに向けて万全の準備を済ませており、利用客が最も犠牲になったと批判的に論評した。

 交通部観光局の20日のまとめでは、主要旅行社のグループツアーのうち、台湾出発便の15グループ389人、到着便の11グループ224人が影響を受けた。業界団体、中華民国旅行商業同業公会全国聯合会の蕭博仁理事長は、突然のスト入りで消費者の権益がないがしろにされたと痛烈に批判した。

 物流関連でも旅客便を利用する一部の貨物に影響が出る見通しだ。米国向け電子部品などの輸送遅延が懸念されている。

旅費日当などが争点

 エバー航空労使は2017年からの20回の団体交渉、3回の労使調停を経ても溝が埋まらず、組合側は今月7日にスト権を確立させていた。スト権投票期間中の2度の労使交渉は決裂しており、昨日20日に交渉再開も再び決裂、2時間後の同日午後4時からストに踏み切った。

 ストの直接の引き金となったのは、8項目の争点のうち、パーディアム(旅費日当)の1時間当たり90台湾元から150元(約520円)への引き上げと、労使合意事項の団体交渉当事者以外への不適用の要求について、経営側が拒否したことだ。経営側は、パーディアム金額は国際水準であり、同一便のクルーに異なる基準を適用するのはわだかまりを生み、飛行安全上のリスクとなるとして譲歩しない考えだ。

 台湾の航空業界で、ストは過去2年で3回目だ。16年6月に中華航空の客室乗務員が業界初のストを実施し、今年2月には同社の操縦士(パイロット)らも行っている。

【表】