ニュース 建設 作成日:2019年6月27日_記事番号:T00084296
台北駅前の高層ツインビル「双子星大楼」の開発計画が、またもや見通し不透明になった。経済部投資審議委員会(投審会)は26日、昨年末に最適申請資格者に選ばれた香港系デベロッパー、南海控股について、実質的に中国の影響力を受け、国家安全保障上の懸念があるとして、台湾での事業会社の設立申請を却下した。事業者の再選定となった場合、2025年の完成予定が遠のく可能性がある。27日付経済日報などが報じた。
投審会の楊淑玲報道官は、立地は台湾高速鉄路(高鉄)、台湾鉄路(台鉄)、都市交通システム(MRT)やバスターミナルが集まる交通のハブで、陸の玄関口であることを考慮したと説明した(26日=中央社)
ツインビル開発は昨年末、06年以来6回目となる入札でやっと、南海控股とマレーシアのマルトン社のコンソーシアムが最適資格者に選ばれた。投資額は600億台湾元(約2,100億円)以上で、柯文哲台北市長の任期内で最大規模。台北市政府と3月末までに契約を締結するはずが、事業会社となる台湾南海発展の設立に対する投審会の審査が終わらず、契約期限が延長されていた。計画によると、台北駅周辺の最大のランドマークとして、商業施設、ホテル、オフィスが入居する53階建てと65階建ての高層ビルを25年に完成させる予定だった。
行政訴訟も視野
投審会は、外国人投資条例第7条の「国家安全に不利な影響がある」に該当すると判断し、南海控股とマルトンが10億元相当の外貨を送金し、事業会社となる台湾南海発展を設立する計画を却下した。
南海控股に安全保障上の懸念があるとした理由として、▽南海控股の業務や従業員は中国が中心で、香港企業でなく中国企業と見なせる▽南海控股の親会社、南海控股(バミューダ)は中国人が経営に深く関与している▽南海控股の全株式に質権を設定している香港の中国数碼文化集団(チャイナ・デジタル・カルチャー・グループ)は、中国人が経営、財務、人事に関与している──ことなどから、中国市場との関係が深く、中国の政策の影響を受けやすいことを挙げた。
投審会は、申請却下は行政処分に該当し、不服があれば30日以内に行政訴訟を提起できると説明した。ただ、BOT(建設、運営、譲渡)部分については台北市政府が対応すると述べた。
南海控股は、合法的な外資として入札を通じて選ばれたのに、安全保障上の懸念を理由に却下されるのは考えられないと不満を表明、対応を検討中とコメントした。関係者は、行政訴訟もあり得ると明かした。
台北市政府捷運工程局の王偉主任秘書は、半年近く待って却下されたことには驚いたが、投審会の判断を尊重し、今後の対応を協議すると述べた。
宏匯集団とクレボ、意欲表明
規定によると、南海控股が最適資格者を取り消された場合、台北市政府捷運工程局の対応方法は▽6回目の入札で最適資格者2位だったデベロッパーの宏匯集団と藍天電脳(クレボ)のコンソーシアムと交渉する▽7回目の入札を行う──のいずれかだ。
宏匯集団とクレボは、台北市政府捷運工程局から通知があれば、契約に向けて全力で取り組むと表明した。
不動産業界関係者は、実力のある企業が応札したものの、結局は投審会が国家安全保障上の懸念を理由に却下したとなれば、行政判断が法律を上回るに等しいとの見方を示した。来年1月に総統選挙を控える中、海外の大手企業の台湾投資意欲をそぐとの声も出ている。
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