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クアルコムが5G拠点、台湾業界のけん引期待


ニュース 電子 作成日:2019年6月28日_記事番号:T00084323

クアルコムが5G拠点、台湾業界のけん引期待

 米半導体大手のクアルコムは27日、新竹科学工業園区(竹科)で、第5世代移動通信(5G)先進技術の実験室などが入る海外初の自社ビルに着工した。同社の5Gチップ開発の中心拠点との位置付けで、周波数帯域のテストを含め、モジュール設計から製造までを行う。台湾の5G産業をけん引する役割が期待される。28日付自由時報などが報じた。

/date/2019/06/28/01qualcomm_2.jpg陳・世界製造技術兼営運シニア副総裁(左8)は、台湾メーカーとの協力を通じて、5GやAI、IoT分野でのイノベーションを続けると語った(竹科リリースより)

 クアルコムの自社ビルは交通大学に隣接し、敷地面積2,200坪余り。投資額55億台湾元(約190億円)で、5G実験室の他、▽運営・製造工程・検査センター(COMET)▽マルチメディア研究開発(R&D)センター▽モバイル人工知能(AI)イノベーションセンター──を設置する。完成は2021年で、1,000人以上の雇用を見込む。COMETの設置は米カリフォルニア州以外で初めてで、全世界の顧客向けにサービスを提供する予定だ。

 クアルコムは、5Gで活用されるミリ波(mmWave)の技術実験を、米サンディエゴの本部から台湾の5G実験室に移転する。今後、世界の顧客との5Gプロジェクトのテストの4割以上を台湾実験室で行う予定。半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)メーカーや、設備メーカーによる商機獲得など、台湾5G産業の発展にとって鍵となる役割を果たす見通しだ。

 クアルコムの陳若文・世界製造技術兼営運シニア副総裁は「5Gは国力の延長であり、最も力のある国が5Gを握る」との認識を示した上で、ミリ波は難度が高いため、台湾で開発を進めることにしたと述べ、台湾の技術力を高く評価した。さらに、5Gエコシステムを構築することで台湾との約束を果たすとの立場を強調した。

投資協力の一環

 クアルコムは昨年8月、公平交易法(独占禁止法に相当)違反問題で公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)と和解し、台湾への5年間の投資協力と引き換えに、課徴金234億元の27億3,000万元への大幅減額を受けた経緯がある。自社ビル着工は、投資協力の一環だ。

 クアルコムはまた、台湾大学、清華大学、交通大学、成功大学との共同研究計画や、台湾のスタートアップ企業との▽5G▽セルラーモノのインターネット(IoT)▽機械学習▽スマートシティー▽マルチメディア──などの分野で新製品開発などを進める計画だ。