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凶暴な愛犬、実はツキノワグマ?


ニュース 社会 作成日:2019年6月28日_記事番号:T00084344

凶暴な愛犬、実はツキノワグマ?

 花蓮県寿豊郷の公益団体が、地元にまつわる記憶を後世に残すプロジェクトの一環として、住民が所有する古い写真の収集を行っている。ある日、調査員が聞き取りを行った76歳の女性から「昔、とても凶暴な犬を飼っていた」という話を聞き、写真を見せてもらったところ、どう見ても台湾黒熊(タイワンツキノワグマ)だった。

/date/2019/06/28/20dogbear_2.jpg女性は、飼い犬は胸の部分が白かったと話した(社団法人花蓮県牛犁社区交流協会フェイスブックより)

 驚いた調査員は、ツキノワグマに特有の胸の白いV字模様があると指摘しつつ「犬ではなく台湾黒熊では?」と尋ねたが、女性は「熊に似ているけれども、飼っていたのは犬だ」と言い張った。

 そこで調査員が「犬」のその後について質問すると、女性は「1年飼ったけれど、凶暴で手に負えなくなり、夫に頼んで別の人に譲った」と答えた。後日、「犬」の写真を拡大して女性に見せても、「うちの犬じゃないか」と反応したため、犬を飼っていたと心の底から信じているようだ。

 ところが、調査員が公益団体のフェイスブック(FB)ページに「犬」の写真とエピソードを投稿したところ、インターネットユーザーから「この写真は円山動物園(かつて台北市の円山公園内にあった台北市立動物園の通称)で撮影されたもの」との指摘が寄せられた。また、確認すると事実と判明した。

 飼っていたのは犬だったのか熊だったのか。真相を突き止めるべく、調査員は近隣に住む高齢者に聞き込みを行った。写真を見せると大多数の住民が「これは熊だ」と答えたが、女性が飼っていた動物については「大きな犬だった」と語る者もいれば、「あの家では熊を飼っていた」と証言する者もあり、迷宮入りとなった。

 ただ、多くのネットユーザーから「以前、祖父や祖母が熊を飼っていたと聞いたことがある」との声が数多く寄せられ、本当に熊であった可能性も捨て切れない。

 今回の顚末(てんまつ)について調査員は、かつて台湾には動物の写真が少なく、動物に関する教育も不十分だったため、多くの高齢者が熊と犬の区別が付いていないことが明らかとなったとコメントした。公益団体関係者は、調査で得られるようなエピソードは考証が難しく、歴史的な事実として扱うことはできないが、台湾には多くの種が存在するため、動物に関する記憶を保存することは意義があると強調した。