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日本の対韓輸出規制強化、半導体用化学品で転注も


ニュース 電子 作成日:2019年7月2日_記事番号:T00084370

日本の対韓輸出規制強化、半導体用化学品で転注も

 日本政府が元徴用工問題への対抗措置として、韓国に対し半導体製造など向けの重要化学品3品目の輸出規制を発表したことを受け、韓国業界ではこれら化学品の供給不足が懸念されている。台湾はレジスト(感光材)やポリイミド(PI)フィルムなどのメーカーへの転注が期待できそうだ。仮に韓国半導体業界の生産が滞る事態となれば、DRAMメーカーへの恩恵も期待できる。2日付経済日報などが報じた。

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 日本政府は4日から、▽レジスト▽フッ化水素(エッチングガス)▽フッ化ポリイミド──の韓国向け輸出に際し、包括許可を取りやめ、個別許可のための審査を課す。レジストとフッ化水素は半導体製造に不可欠な化学品で、フッ化ポリイミドは有機EL(OLED)の生産に使用される。個別輸出許可の手続きには90日かかるとされ、韓国企業が台湾業者から在庫を確保する動きが広がりそうだ。

 このうち、台湾永光化学工業(エバーライト・ケミカル・インダストリアル)は、半導体用のレジストや現像液などを手掛ける。電子化学品の売上高構成比は昨年11.2%だった。永光化学の翁国彬財務処長は、レジストは半導体、パネル製造など幅広い分野で使用されるため、転注状況を注視していると述べた。

 達邁科技(タイミド・テクノロジー)は、世界4位のポリイミドフィルムメーカー。新竹科学工業園区(竹科)銅鑼科学園区(苗栗県)での工場拡張と設備搬入を同時に進めており、電子業界の需要期に合わせて下半期に稼働を予定する。新規生産能力は600トンで、競合が少ないハイエンド向け需要に応える。

 日本政府はまた、重要化学品3品目の輸出規制強化に加え、輸出管理の優遇措置が与えられる安全保障上の友好国「ホワイト国」のリストから韓国を外す方針で、意見募集手続きに入った。

DRAM価格上昇も

 サムスン電子、SKハイニックスなどの韓国半導体メーカーの生産が滞る事態となれば、台湾のDRAM大手、南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)や華邦電子(ウィンボンド・エレクトロニクス)が恩恵を受けそうだ。サムスン電子とSKハイニックスはDRAM世界市場でシェア7割を占めるため、供給過剰で下落しているDRAM価格の回復が期待できる他、台湾への転注効果もありそうだ。

 証券会社は、第3四半期は需要期入りも加わり、▽DRAM▽NAND型フラッシュメモリー▽NOR型フラッシュメモリー──の価格が反発するとみている。DRAM価格の下落を見越していたODM(相手先ブランドによる設計・生産)・OEM(相手先ブランドによる生産)企業の在庫水準は低下しており、供給減少が進めば需給は急速に改善する可能性があると指摘。NOR型フラッシュメモリーは供給不足に陥ることも考えられると分析した。

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