ニュース 社会 作成日:2019年7月10日_記事番号:T00084553
昨日の午前中、突然携帯電話にデング熱の警戒通知が届き、驚かれた読者の方もいるだろう。実はこれ、台南市開山里(里は台湾最小の行政単位)の周辺のみに配信するはずだったのだが、システムの不具合により台湾全土に誤配信されてしまったものだ。市民からは、台湾最大の里が誕生したと揶揄(やゆ)する声が上がった。
配信された警戒通知。航空会社が「開山里(台湾)からバンコク」のチケット広告を出すなど、ネットでは関連の話題で一日中盛り上がった(9日=中央社)
日本の緊急速報メールに相当する台湾のパブリックワーニングシステム(PWS)では、緊急地震速報などの緊急警報の他、さまざまな政府機関などが警報や警戒通知を配信している。
この日、台南市政府の担当者は、同市中西区開山里でデング熱流行が発生したことを受けて注意を呼び掛けようと、今年初めてとなるデング熱の警戒通知の配信を、周辺の半径390メートルの範囲にある携帯電話に行うことにした。中央政府の衛生福利部疾病管制署(CDC)のシステムに接続し、グーグルマップを利用した画面で地域を指定して配信したところ、どういう訳か台湾全土に配信されてしまった。
「あなたの所在地(開山里)ではデング熱が流行しています。蚊に注意してください…」。警戒通知に驚いた20万人以上もの人が開山里がどこにあるのかインターネットで検索したことで、開山里はグーグルの急上昇ワードにランクイン。一躍、台湾で一番有名な里になった。
CDCの荘人祥副署長は、システムの不具合で半径390メートルの範囲に配信するはずが、台湾全土が収まる半径390「キロ」メートルの範囲に配信されてしまったとあきれた原因を明かした。昨年のテスト時には問題なかったが、システムのアップデート時にバグ(不具合)が紛れ込んだようだと釈明。PWSでの配信は、ショートメッセージサービス(SMS)と違い送信に費用はかからないので、税金は無駄になっていないとの弁明も忘れなかった。
蔡英文総統は、フェイスブック(FB)で公開している「蔡英文と学ぶ英文」講座の中で、「みんなが開山里の住民になりました」「開山里はKaishan Village、覚えてね」と投稿。開山里以外の市民にもデング熱対策を呼び掛けた。
一方、開山里長の呂基正氏には、疎遠になっていた北部の友人からたくさんの電話があったという。不本意な形で有名となってしまったが、今後もデング熱の脅威と戦うため防疫活動に協力していくとコメントした。PWSによって、彼は一瞬で総統と同じ台湾全土2,300万人のリーダーになったと話題になっている。
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