中央銀行は26日、▽公定歩合の0.125ポイント引き上げ▽預金準備率の引き上げ▽通貨供給量(M2)目標値の下方修正──の3項目の措置を発表した。インフレ抑制を当面の最優先目標とし、金融政策を従来の「中立」から「引き締め」に転換させたと受け止められているが、「景気回復や株式市場にとってマイナス」という見方も出ている。27日付工商時報などが報じた。
台北市内の中央銀行。 彭淮南中銀総裁は、海外の金融専門誌から3年連続でA評価を受けるなど、手腕は内外で高く評価されている。「第3次石油危機」とも言われる、今回のインフレ局面への対応に注目が集まる(YSN)
利上げは27日からの実施で、公定歩合は3.625%に、担保付融通貸出利率は4%に、短期融通貸出利率は5.875%に上昇した。
預金準備率の引き上げは7月からで、普通預金は1.25ポイントの引き上げで準備率11.025%に、定期預金は0.75ポイントの引き上げで準備率5.75%となる。工商時報によると、今回の預金準備率の全面的な引き上げは1989年以来、19年ぶりのことだ。
また、通貨供給量の代表的な指標であるM2の年間伸び率の目標値を、従来の「3~7%」から「2~6%」に1ポイントの下方修正を行った。
2千億元を回収
今年通年の消費者物価指数(CPI)上昇率は、96年以来最高となる3.29%が予想されている(行政院主計処)。物価高騰の最大要因である原油価格は、26日のニューヨーク取引所で一時過去最高の1バレル=140米ドル台をつけ、今後も高値圏で推移することが予想されている。こうした中、中銀は政策の重点を「経済成長」から「インフレ抑制」に移し、公定歩合などの引き上げによって市場から余剰資金を回収する措置に出た。特に預金準備率の引き上げでは、市中から回収される資金は2,000億台湾元(約7,040億円)規模に達するとみられている。
株価、7千ポイントも
今回の措置に、台湾各メディアは「株式市場にマイナス」という反応で一致している。27日の台湾株式市場の加権指数は、前日のニューヨーク市場が358ポイントの下落となったこともあり、寄り付きで一気に321ポイント下落して7,500ポイントを割り込んだ。終値はやや戻し、結局、前日比263.04ポイント(3.37%)下落の7,548.76ポイントとなった。ある証券会社のトレーダーは、「下値7,000ポイントを探る展開になる」という予測を示している。
資金調達に悪影響
また、ある電子メーカーの財務担当幹部は、「預金準備率の引き上げの影響で株価が下落した企業は、現金増資をしようという際の価格設定に悩み、意欲が削がれるだろう。DRAMやパネルなど高額の設備投資が必要な業界の資金調達に悪影響が出るかもしれない。特に市況がいまだ好転せず利益の出ないDRAMメーカーにとって問題は大きい」と懸念を示した。