ニュース 社会 作成日:2019年7月11日_記事番号:T00084575
ファストファッションの隆盛に伴って、台湾市民の衣類購入頻度が高まる一方で、年間に廃棄される古着の量も年々増加している。行政院環境保護署(環保署)の統計によると、台湾全土で昨年1年間に回収された古着の量は7万311トンと、2015年の4万242トンから4年間で大幅に増加した。こうした古着の多くはリサイクルされることなく焼却処分されており、環境に悪影響を及ぼすと問題視されている。
環境保護団体のグリーンピースは、昨年台湾で廃棄された古着はその重量から約2億着に上ると推算、1分間に438着が捨てられている計算と指摘した。
また南台科技大学化学工程・材料工程系の蘇順発副教授は、環保署の分析データを基に、14年以前は最終処分前の一般廃棄物に含まれる繊維・布類の比率は2.5%だったが、15年には一気に2倍に上昇しており、リサイクルし切れず焼却処分に回される衣類が増えている状況を裏付けていると強調した。
かつてアパレル業界で働いた経験を持つ楊秉勲氏と妻の許紓語氏は、ファストファッションの流行が生み出したごみや汚染が環境に与える影響は予想をはるかに上回っていると指摘。こうした状況に危機感を覚えた夫妻は現在、古着を編み物の材料に変える方法を市民に教えるスタジオ「田野間」を開設。1,000人を超える生徒を集めている。
この他、工業技術研究院(工研院、ITRI)も台南市の財団と共同で「布銀行」を設立。アパレルメーカーの倉庫から余った布を回収し、再利用したり、市民に古着から新しい衣類やエコバッグなどの作り方を教えたりする活動を行っている。
なお台湾の社会福祉団体の多くは従来、回収した古着の販売を重要な収入源としてきたが、低価格をうたうファストファッションの隆盛に伴い、回収される衣類の材料品質が劣悪化し、高く売れるものが減少。こうした福祉団体のリサイクル衣料販売事業の売上高はかつての3分の1にまで落ち込んでいるそうだ。
ある調査によると、台湾市民のクローゼットに保管されている衣類のうち、2割は「ほとんど着ない」か「全く着ない」とされる他、72%の市民が「タグが付いたままの衣類がある」と答えている。
ファストファッションの出現で価格が低下し、気軽に衣類を買えるようになったが、購入の際は環境や福祉への影響も考慮し、その服が本当に必要か少し立ち止まって考えてみたいものだ。
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