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国民党の総統選候補、韓国瑜氏に決定


ニュース 政治 作成日:2019年7月15日_記事番号:T00084605

国民党の総統選候補、韓国瑜氏に決定

 最大野党、国民党は15日、来年1月の総統選の党公認候補が韓国瑜高雄市長(62)に決定したと発表した。予備選挙として行った有権者への電話での世論調査で、韓氏は支持率44.8%を獲得。対抗馬と目されながら27.7%に終わった郭台銘(テリー・ゴウ)鴻海精密工業前董事長(68)に圧勝した。韓氏は高雄市長に就任してわずか半年余りで、総統選史上初めて現職市長のまま選挙戦を戦うことになる。聯合報電子版などが15日伝えた。

/date/2019/07/15/00top_2.jpg予備選の世論調査結果の発表記者会見に臨んだ韓氏(左)。党の団結に協力を求めるべく、直ちに朱氏と郭氏に面会する考えを示した。右は呉敦義・国民党主席(15日=中央社)

 同党予備選は韓氏、郭氏の他、朱立倫前新北市長(58)、周錫瑋元台北県長(61)、張亜中孫文学校校長(64)の5人で争われた。メディアや大学など5機関による世論調査の最終的な平均支持率は、▽韓氏、44.8%▽郭氏、27.7%▽朱氏、17.9%▽周氏、6%▽張氏、3.5%──。

 韓氏は記者会見で、「うれしい気持ちは全くない。例えようもない重いプレッシャーを感じるのみだ」と圧勝の感想を述べた一方、「責任を引き受け、多くの友人の助けを得て、共に台湾の良い未来を開いていきたい」と総統選勝利に向けての抱負を語った。

 韓氏は当初、高雄市の有権者への配慮から予備選不参加を表明。最終的に党の擁立を受ける形で出馬し、台北市など各地で5回の大型集会を開くなどして支持層を固めた。党中央でポストを得たことがなく、不遇の時期が長かったことから「庶民総統」になれる人物との期待を集めた。

郭氏、離党・立候補説も

 郭氏は徒手空拳から巨大企業・鴻海を育て上げた実績や、6歳までの子供を国家で養うなどの政策をアピールしたが好感度が上がらず、韓氏に及ばなかった。郭氏は声明文を発表して韓氏への祝意と支持者への感謝を表明した一方、「中華民国に貢献する決心は永久に捨てない」と強調した。予備選の在り方を不公平と批判してきた郭氏には、離党して無所属で総統選に立候補するとの見方もささやかれており、今後の動向が注目される。

/date/2019/07/15/00guo_2.jpg必死の選挙戦もむなしく敗れた郭氏。フェイスブック(FB)ページには無所属での出馬を求める支持者の声が相次いでいる(中央社)

高雄市長の退任要求

 与党・民進党は、李晏榕広報担当が「国民党予備選の結果を尊重する。わが党はあらゆる進歩的な力を結集して蔡英文総統(62)の再選を目指す」と表明した。

 昨年の高雄市長選で当選を争った同党の陳其邁行政院副院長は「高雄市の経済発展を図るとした公約を市民に説明すべきだ」と韓氏を批判。同市の民進党市議、林智鴻氏も「市政に専念する約束は破られた。韓氏は直ちに退任すべきだ」と訴えた。

「出馬検討の時機到来」

 総統選の行方は、2期目を務める柯文哲台北市長(59)が参戦するか否かが大きな変数となる。柯氏は以前、民進党と国民党の候補者決定を待って判断すると表明していたが、韓氏の予備選勝利を受けて「(出馬を)真剣に検討するときが来た」とのみ発言し、立候補するか否かには踏み込まなかった。柯氏は、国民党候補が韓氏に決まった場合、出馬の可能性が高まるとの側近の発言が報じられていた。柯氏は若年層に一定の支持があり、出馬した場合は再選を目指す蔡氏に不利な要素となると目されている。