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緑能2回目の不渡り、会社清算へ


ニュース その他製造 作成日:2019年7月16日_記事番号:T00084633

緑能2回目の不渡り、会社清算へ

 大同(TATUNG)集団傘下の太陽電池用シリコンウエハー最大手、緑能科技(グリーン・エナジー・テクノロジー)は15日、今月2回目の不渡りを出したことを受けて会社の清算と従業員284人の解雇を董事会で決定した。厳しい業界環境が続く中、会社存続は不可能になったと判断した。16日付工商時報などが報じた。

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 8月30日に予定する臨時株主総会で承認を得られれば、清算人3人の選任など清算事務に着手する。

 太陽電池業界は昨年、▽米国の通商法201条、301条発動▽インドのセーフガード発動▽中国による太陽光発電補助の大幅削減──など、厳しい環境の変化に見舞われ製品価格が暴落。太陽電池用シリコンウエハー価格は現在1枚0.26米ドルで、生産コストの0.4米ドルを下回り、生産を増やすほど損失が拡大する状況だ。同社はこのため、6月以降、工場の稼働停止を進め、既に動いている生産ラインはない。熊穉麟同社財務長は「資金不足に陥り、銀行の支援も受けられず、経営を維持できなくなった」と窮状を説明した。

解雇費用1.3億元

 緑能科技は経営危機が明るみに出た昨年、300人余りの人員削減を行っており、今回は残りのほとんどの従業員を削減する。既に台北市と桃園市の労工局に大量解雇計画書を提出済みで、解雇費用は1億3,000万台湾元(約4億5,200万円)を見込む。

 緑能科技の最大債権行は京城商業銀行(キングズ・タウン・バンク)で、同社に対する銀行融資約三十数億元のうち29億元を1行で負担している。担保提供を受けている南部科学工業園区(南科)および観音工業区(桃園市)の工場を処分しても5億~6億元の損失が発生する見通しだ。

 債権銀行団は先週、緑能科技と協議を行ったばかりで、今週17日に直近の経営状況について報告を受ける予定だったという。解散発表は銀行団にとって「寝耳に水」で、「またもや大同集団にだまされた」との恨み節も聞かれた。

URE、モデルチェンジへ

 太陽電池業界では、3社合併で最大手となった聯合再生能源(ユナイテッド・リニューアブル・エナジー、URE)が先週、年内に人員の15%、約450人を削減すると発表したばかり。これに関連して洪伝献同社董事長は15日、湖口工場での239人の大量解雇を新竹県政府労工局に届け出たことを明らかにし、「当社のモデルチェンジに必要な措置」と説明した。UREの太陽電池は競争力に欠けるため、より生産額の大きい太陽電池モジュール・太陽光発電システムへの移行が必須との認識だ。

 洪董事長はまた、人員削減は太陽電池の生産能力を現在の3~4ギガワット(GW)から1~1.5GWに縮小するのに応じた措置と改めて説明した。なお、追加の大量解雇は予定していないという。

【表】