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ラーガン、車載用レンズから撤退


ニュース 電子 作成日:2019年7月17日_記事番号:T00084658

ラーガン、車載用レンズから撤退

 スマートフォン用カメラレンズ世界最大手の大立光電(ラーガン・プレシジョン)は、車載用レンズから撤退する。電気自動車(EV)大手、米テスラからの新規受注を断るなど、既に顧客への通知を済ませたとみられる。業界では車載用は有望な市場と期待されているが、高規格化が進むスマホ向けレンズに、経営資源を集中する。17日付経済日報などが報じた。

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 ラーガンは16日、スマホ向けレンズに注力し、今後、車載用レンズには経営資源を投入しないとコメントした。観測によると、車載用は既存モデルの生産終了後は生産しない方針だ。車載用の売上高構成比は10%未満で、影響は大きくないとみられる。

 ラーガンは2013年に車載用レンズに参入したが、車載用は少量多品種生産が必要で、鋳型や開発のための人的資源の投資が投資利益率(ROI)を押し下げており、ラーガンの大量生産モデルには合わなかった。加えて、車載用は高温対策が必要で、全てガラスレンズ構成かプラスチックレンズとの混合構成となり、スマホに比べ低規格で利益率が低い他、価格主導権がないこと、顧客の認証に時間を要することも要因のようだ。

 一方、スマホ向けでは1台当たりのカメラ搭載数が増加したことで、生産能力を拡大するも供給が追い付かない状況が続いていた。レンズの高規格化が進んだことで、新製品の良品率向上は容易ではなく、車載用を諦め、開発資源をスマホ向けに集中させる判断に至ったとみられる。

スマホ向けは1億画素へ

 ラーガンはスマホ向けレンズ月産能力が1億個以上。スマホ向けのハイエンドレンズ市場で圧倒的なシェアを占める。高規格化が進む中、中国のスマホ大手、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)はトリプルカメラのうち1個に4,000万画素以上のレンズを搭載した。市場では4,800万画素以上のレンズが大幅に不足しており、価格は1,600万画素のレンズ5個分に相当するとされる。ラーガンは来年、スマホ向けで初の1億画素以上のレンズを投入すると予想されている。

 一方、1個当たりに使用するレンズの枚数は、既にプラスチックレンズ7枚(7P)構成の段階に入った。8P構成は共同開発(デザインイン)中で、早ければ来年にも市場に投入される見通しだ。

亜洲光学に転注か

 ラーガンの車載用レンズからの撤退で、同分野での業務拡大を進める▽亜洲光学(アジア・オプティカル)▽佳凌科技(カリン・テクノロジー)▽今国光学工業(キンコ・オプティカル)──が恩恵を受けそうだ。亜洲光学は、車載用レンズの売上高構成比が5.8%で、テスラ向け出荷拡大が見込める。佳凌科技は、同分野の売上高構成比が10%以上だ。

 ラーガンの林恩平執行長は13年当時、自動車1台当たりに最低レンズ8個が搭載され、将来的に5億個規模の市場になると有望視していた。

 業界関係者は、車載用レンズの需要が爆発的に増加するのは、自動運転車の登場後になるとの見方だ。

【表】