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日韓対立、台湾製造業に打撃=産業界


ニュース 電子 作成日:2019年7月18日_記事番号:T00084683

日韓対立、台湾製造業に打撃=産業界

 日本による韓国向け半導体やパネル用重要化学品の輸出管理強化について、財界団体、中華民国三三企業交流会(三三会)の許勝雄理事長は17日、台湾の半導体業やパネル業が直接の影響を受けずとも、韓国メーカーの原材料が不足すれば、サプライチェーン断絶を招きかねず、台湾の加工製造業は影響を免れないとの見方を示した。既にDRAMスポット価格は1週間で約12%上昇しており、川下の調達コスト増加が懸念される。18日付経済日報などが報じた。

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 ノートパソコン受託生産大手、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)董事長でもある許理事長は、各国が保護主義を強める中での日韓貿易対立は、輸出に依存する台湾にとって不利な要因だと指摘した。米中貿易戦争の中でも米国と日本の経済状況は比較的良いが、▽中国▽欧州連合(EU)▽東南アジア諸国連合(ASEAN)──は悪いため台湾の輸出が伸び悩むとみており、下半期の見通しについて、外需は冷え込み、内需が引き続き下支えすると予測した。

 中華民国工商協進会(CNAIC)の林伯豊理事長は、台湾にとって韓国は競争相手のためプラス面があるが、マイナス面の方が大きいと述べた。電子業は価格変動により影響を受ける他、世界的なサプライチェーン再編が起こる可能性があるとし、再編は2~3年かかるため、企業や政府は対応を迫られると指摘した。

 経済部工業局の楊志清副局長は、台湾の半導体やパネル産業への影響も懸念されるが、在庫は1.5カ月分、半製品は2.5カ月分あるので、日韓の出方を見極める時間があるとの認識を示した。

メモリー価格上昇

 DRAMやNAND型フラッシュメモリーの在庫水準は依然高いが、輸出管理強化を受けて韓国メーカーが稼働率を引き下げたことや、顧客が在庫を積み増していることで、スポット価格は上昇が続いている。

 DRAMスポット価格は過去1週間で約12%上昇し、2017年以来で最大の伸び幅となった。韓国のサムスン電子、SKハイニックスのメモリー生産中断を懸念した顧客がスポット市場で買い集めているためだ。アナリストは、サムスンとSKハイニックスは、第3四半期の契約価格を引き上げていると指摘した。野村証券のアナリストは、韓国メーカーの重要化学品の在庫は約1カ月とみている。

 工商時報などによると、7月のDRAMとNAND型フラッシュメモリーの契約価格は下落幅が縮小するか、横ばいとみられている。台湾DRAM大手の南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)や華邦電子(ウィンボンド・エレクトロニクス)、NAND型フラッシュメモリーの旺宏電子(マクロニクス・インターナショナル、MXIC)などが恩恵を受けそうだ。

サムスンスマホも打撃か

 サムスンのスマートフォン向け供給にも影響が及ぶと伝えられており、米アップルや中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)のスマホ向けに供給する▽ファウンドリーの台湾積体電路製造(TSMC)▽ディスプレイドライバIC設計の聯詠科技(ノバテック・マイクロエレクトロニクス)▽ガリウムヒ素(GaAs)半導体の穏懋半導体(ウィン・セミコンダクターズ)▽プリント基板(PCB)の臻鼎科技控股(ZDT)▽銅張積層板(CCL)の台光電子材料(エリート・マテリアル、EMC)──などが恩恵を受けそうだ。

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