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TSMC、7ナノ年内フル稼働


ニュース 電子 作成日:2019年7月19日_記事番号:T00084707

TSMC、7ナノ年内フル稼働

 ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が18日発表した第2四半期純利益は667億7,650万台湾元(約2,300億円)で前期比8.7%増、前年同期比7.6%減だった。米中貿易戦争を受けた世界経済減速の影響が続いたが、前期より減益幅が大きく改善した。下半期は第5世代移動通信(5G)インフラやスマートフォン新機種向け需要が高まり、年内は7ナノメートル製造プロセスでフル稼働が続くと楽観視している。19日付工商時報などが報じた。

/date/2019/07/19/00tsmc1_2.jpg劉董事長(右)は、同社の5ナノでの市場シェアは、7ナノを上回ると自信を示した(18日=中央社)

 何麗梅・資深副総経理兼財務長は、第2四半期は世界経済の減速、顧客の在庫調整、ハイエンドのモバイル製品の季節要因などが影響したが、既に谷底は脱しており、需要が回復してきていると指摘した。

 第2四半期の連結売上高は2,409億9,900万元で前期比10.2%増、前年同期比3.3%増だった。営業利益は763億400万元で前期比18.7%増、前年同期比9.6%減と、4四半期連続の前年割れだった。

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 製造プロセス別の売上高構成率は、▽7ナノ、21%▽10ナノ、3%▽16ナノ、23%──と、16ナノ以降の先進プロセスが計47%を占めた。

7ナノ構成率、25%に上昇へ

 魏哲家総裁は、米中貿易戦争で先行きが不透明な中でも、5Gインフラとスマホ新機種向けの需要は強く、在庫水準も第2四半期に改善したため、年末に向けいずれの分野も受注が増加するとの見通しを示した。

 TSMCは、第3四半期売上高が前期比18%増の91億~92億米ドル(台湾元換算で2,821億~2,852億元)と、四半期ベースで過去2番目の高水準になるとみている。

 証券会社によると、通年の米ドル建て売上高は前年並み、7ナノ(7ナノプラスを含む)の売上高構成率は25%以上に上昇する見通しだ。

下半期の7ナノ受注は▽米アップル▽中国・華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)傘下の深圳市海思半導体(ハイシリコン・テクノロジーズ)▽米クアルコム▽米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)▽比特大陸科技控股(ビットメイン・テクノロジーズ・ホールディング)──などが押し上げると見込む。

 スマホや仮想通貨の採掘(マイニング)向け需要の回復を受け、中国・南京工場での生産拡大は予定通り進める。月産能力12インチウエハー投入枚数1万枚から、年末に1万5,000枚、来年末に2万枚に引き上げる予定だ。

 一方、何財務長は、今年の半導体産業の予測は3%減、ファウンドリーは1%減と、従来の横ばいから下方修正した。

/date/2019/07/19/00tsmc2_2.jpg何氏(左)は9月1日付で財務長と広報担当から退任し、副財務長の黄仁昭氏(右)が引き継ぐ(18日=中央社)

5ナノ量産、前倒し

 TSMCは同日、7ナノ需要の高まりと、5Gや人工知能(AI)向け需要増を好感し、試験生産を行っている5ナノプロセスは、2020年上半期に量産開始を前倒しすると説明した。10月にも設備投資額を明らかにし、設備搬入を始める方針で、今年の設備投資額は過去最高の110億米ドル以上に上方修正されることが確実となった。

 設備業者は、来年アップルの次期プロセッサー「A14」とハイシリコンの5G対応システム・オン・チップ(SoC)2種類で、TSMCの5ナノが採用されるとの見方を示した。

 この他、7ナノと互換性がある6ナノの20年第1四半期の試験生産、20年第4四半期の量産開始、3ナノの21年試験生産、22年量産開始を予定する。

日韓対立、転注期待薄

 日本による韓国向け半導体用重要化学品の輸出管理強化について、劉徳音(マーク・リュウ)董事長は、世界のハイテク業界に影響があるが、不確定要素が多く、影響の程度は予測できないと述べた。TSMC幹部は、テープアウト(設計完了)、製造プロセスの認証まで時間がかかるため、ファウンドリーの選定は早い時期に行われるので、日韓の貿易上の対立でTSMCにすぐに転注があるわけではないと語った。

【表】