ニュース 金融 作成日:2019年7月31日_記事番号:T00084911
台湾初のインターネット専業銀行として、▽中華電信など台湾企業から成る将来商業銀行(ネクストバンク)▽楽天を中心とする楽天国際商業銀行(楽天インターナショナル・コマーシャル・バンク)▽LINE(ライン)を中心とする連線商業銀行(LINEバンク)──の3陣営全てが30日、金融監督管理委員会(金管会)に設立を認可された。早ければ来年4月にも開業する。厚い会員層を活用して若者など新規顧客を掘り起こすとみられ、既存銀行や電子決済業界との競争激化が予想される。31日付経済日報が報じた。
金管会の顧立雄主任委員は、当初2行を予定していた認可を、設立を申請した3陣営全てに与えた理由について、それぞれビジネスモデル、ターゲット層が異なるためと説明した。金管会は韓国の事例を基に、3行は認可を受けた8~20カ月後にサービスを開始し、損益均衡は開業後3~5年との見方だ。なお、第2弾の設立認可は当面予定していない。
オープンバンキングに意欲
ネクストバンク準備処の劉奕成執行長は、早ければ2020年上半期に開業し、従業員は当初60人余り、その後200~300人とする計画を明かした。スマート機器や人工知能(AI)技術などの利用や、(銀行が顧客データなどを一般企業と共有してサービスを展開する)「オープンバンキング」などの異業種提携で、顧客に多様なサービスを提供すると語った。
劉執行長はまた、ネット銀行の設立認可は、貧困などに関わらず全ての人に金融サービスを提供する「ファイナンシャル・インクルージョン」への責任の始まりで、主なターゲットは中華電信やスーパーマーケット最大手、全聯福利中心(PXマート)などの会員の他、▽信用情報に好ましくない履歴がある人▽外国人労働者──と説明した。
劉執行長は以前のインタビューで、3年以内の損益均衡を目指し、資本金100億台湾元(約350億円)と発言していた。
中華電信の謝継茂董事長。ネクストバンクは業界を活性化させる役割を自任する(30日=中央社)
「国家隊」と称されるネクストバンクの株主構成は、▽中華電信、出資比率41.9%▽兆豊国際商業銀行(メガ・インターナショナル・コマーシャル・バンク)、25.1%▽新光集団、14%▽全聯実業、9.9%▽凱基商業銀行(KGIバンク)、7%▽関貿網路(トレードバン)、2.1%──の6社。
楽天、実績とポイント強み
楽天国際商業銀行は、早ければ来年4月に開業すると表明した。楽天は日本で楽天銀行を運営しており、3陣営で唯一ネット専業銀行の実績がある。台湾の顧客ターゲットは、▽楽天ユーザー▽日本好き▽35~50歳のホワイトカラーのサラリーパーソン▽スマート端末のヘビーユーザー──。開業当初はオンラインでの口座開設、預金、決済などの基本サービスを提供する。楽天スーパーポイントでつながる楽天エコシステム(経済圏)で顧客を増やした後は、外国為替、融資、資産管理などサービスを拡充する計画だ。
株主構成は、楽天が出資比率51%、国票金融控股(IBFフィナンシャル・ホールディングス)が49%。資本金は100億元。従業員は現在11人で、将来40人まで増やす。
LINE、2千万ユーザー
LINEバンク準備処は、来年上半期に開業する予定だ。黄以孟執行長は、LINEは台湾に2,100万ユーザーを擁し、ユーザーとの関係は密接と指摘した。開業当初は、株主の銀行の現金自動預払機(ATM)を利用して、預金、融資、外貨両替などのサービスを提供し、その後は資産管理や信託、保険を検討する。
LINEバンクの株主構成は、▽台湾連線金融科技(LINEフィナンシャル台湾)、49.9%▽台北富邦商業銀行、25.1%▽中国信託商業銀行(中信銀、CTBCバンク)、5%▽聯邦商業銀行(ユニオン・バンク・オブ台湾)、5%▽渣打国際商業銀行(スタンダードチャータード)、5%──と、通信キャリアの▽台湾大哥大(台湾モバイル)、5%▽遠伝電信(ファーイーストーン・テレコミュニケーションズ)、5%──で計7社から成る。
LINEバンク準備処の黄執行長。台湾の利用者ニーズに即したサービスを展開すべく、今年1月よりLINEコミュニティを通じて消費者の声を吸い上げてきた(30日=中央社)
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