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「空中歩道」乱立、独自性なく利用者激減


ニュース 社会 作成日:2019年8月2日_記事番号:T00084980

「空中歩道」乱立、独自性なく利用者激減

 台湾では過去十数年の間に各地の山間部に「空中散歩」ができるとうたう吊(つ)り橋や遊歩道が相次いで設置された。当初は大勢の観光客を集めたものの、どこも同じような体験しかできないことや、関連設備や観光資源の乏しさなどが原因で、利用者が激減している。このため、地元の文化的特色に根ざした全体的な視野に立った計画でなければ、観光業の永続的な発展につながらないとの指摘が上がっている。

 日本の会計検査院に相当する監察院審計部がこのほど発表した報告書によると、交通部観光局や各県市政府が景色の良さを売り物とし、「天梯(天のはしご)」や「天空歩道」などの名を冠して設置した観光用の吊り橋や遊歩道は、2007年から18年の12年間に13カ所増え、投入した予算は6億765万台湾元(約20億7,000万円)余りに上った。

 このうち、南投県竹山鎮の太極峡谷に設置された吊り橋を含む遊歩道の利用者は、11年の延べ25万人から、17年には7万9,000人余りにまで急減。維持コストに年間400万元かかるものの、入場料はわずか50元。17年の収入は約397万元にとどまり、赤字に転落した。

 また、桃園市復興区の遊歩道「小烏来天空歩道」の利用者は、11年の延べ123万人余りから昨年は約33万人に、南投市猴探井風景区の吊り橋「天空の橋」は12年の延べ126万人余りから昨年は約22万人へと、いずれも7割以上の大幅減となった。

 吊り橋や遊歩道以外でも、交通部観光局の雲嘉南浜海国家風景区管理処(雲管処)が約1,200万元を投じて台南市北門区に建設した「水晶教会」も、15年当初は結婚写真の撮影スポットとして人気を呼び、来場者が延べ127万人余りを記録したが、昨年はわずか31万人にとどまった。さらに同教会との相乗効果を狙って、雲管処が2,300万元を投じて嘉義県の布袋海景公園に建設したハイヒール型の教会も、オープン当初の16年に延べ214万人を超えた来場者は、昨年138万人余りに落ち込んだ。

 審計部の報告書は、地方政府が今後、観光関連施設に投資を行う際は、現地の文化的特色に基づいて企画を行い、設備が他の地域と重複しないよう留意すべきと提言している。