制裁関税第4弾、iPhone供給網の影響最大


2019年8月5日16:10  ニュース

制裁関税第4弾、iPhone供給網の影響最大

記事番号:T00084984

 トランプ米大統領は1日、9月より対中制裁関税「第4弾」として、制裁対象をスマートフォンやノートパソコンなど残るほぼ全ての中国製品(3,000億米ドル相当)に拡大すると表明したが、台湾メーカーが中国で組み立てるアップルのスマホ「iPhone」が最大の影響を受けるもようだ。9月とみられる新機種発表を前に、8月は関税上昇を見越した駆け込み調達が期待できる一方、アップルはサプライチェーン(供給網)への値下げ要求に出たとの観測もあり、組み立てを担う鴻海精密工業などは生産移転も含めた対応を迫られそうだ。5日付経済日報などが報じた。

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 「第4弾」対象品目の追加関税率は10%。今後25%に引き上げられる可能性もあるとみられる。

 富邦投顧科技の廖顕毅・産業アナリストは、受託生産業者は8月売上高増加が予測される一方、追加関税が製品価格に転嫁されればスマホやノートPCの需要が減退する懸念があると指摘した。廖アナリストによると、アップルはiPhoneとノートPCのサプライチェーンに対し、1割の価格値下げを要請したとされる。

 iPhoneは、鴻海、和碩聯合科技(ペガトロン)などが組み立てを担当している。主要生産拠点は中国で、鴻海が例年6割以上を生産してきた。鴻海は今年からインドで生産し、ベトナム北部での生産も検討するとされるが、ノートPCは受託生産大手が台湾生産回帰を進めているのに比べれば、中国生産への依存を脱却できていない。

 鴻海の劉揚偉董事長は以前、中国以外の25%の生産能力で、米国向け輸出需要への対応は可能との見方を示していた。ペガトロンは、関税は基本的には顧客が負担するもので、同社はコスト削減に努める他、中国以外での生産拡大を検討すると説明した。

/date/2019/08/05/00top_2.jpg鴻海は、対策チームが24時間態勢で対応に当たっていると説明した(2日=中央社)

 米ウェッドブッシュ・セキュリティーズのアイブスアナリストは、アップルが追加関税10%分を製品価格に転嫁すれば、米国での今後1年間のiPhone販売600万~800万台が打撃を受けると予測した。一方、今後1年~1年半の中国での販売台数は6,000万~7,000万台と、全体の2割を占めると予測した。

 アップルに供給する筐体(きょうたい)の▽可成科技(キャッチャー・テクノロジー)▽鴻準精密工業(フォックスコン・テクノロジー)▽鎧勝控股(ケーステック・ホールディングス)──や散熱部品メーカーも8月は受注が増える見通しだ。

組み立てメーカーに赤字圧力

 証券会社は、▽スマホ▽ノートPC▽タブレット端末▽装着型(ウエアラブル)端末▽テレビ──などが新たに制裁関税の対象となり、組み立て業者が最大の影響を受けると指摘した。組み立て業者の営業利益率は1.6~2%、需要期でも3~6%にとどまるため、追加関税10%により赤字に陥る懸念が高まると指摘した。

 花旗環球証券(シティグループ・グローバル・マーケッツ・タイワン・セキュリティーズ)の劉瓊芳・科技産業アナリストは、PCブランドなどが、中国以外に生産拠点を移転した受託生産業者への転注を進めるとの予測を示した。

 ノートPC受託生産の広達電脳(クアンタ・コンピューター)や緯創資通(ウィストロン)は、米中貿易戦争の結果、既に一部の生産ラインを台湾に移転している。英業達(インベンテック)は、マレーシアに生産拠点を設置してスマート端末を生産している他、ノートPCの一部を台湾に移転している。

 プリント基板(PCB)業界は、新学期向けの調達期も加わり、ノートPCやタブレット端末向けで急の注文が増えるとの見方を示した。

 ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、楽観視していた下半期見通しを下方修正することもありそうだ。ただ、米中貿易戦争の激化で最終製品需要が落ち込むとしても、同社は先進製造プロセスで他社に先行するため、影響は限定的となりそうだ。

生産回帰、規模拡大へ

 経済部は2日、スマホとノートPCの受託生産業者とサプライチェーンに直接の影響がある他、機械業界は中国経済の落ち込みで受注が減少するとの見方を示した。経済部高官は、台湾への既存の生産回帰計画の規模拡大や、関連サプライヤーの生産回帰増加が期待できると指摘した。

 台湾経済研究院(台経院、TIER)景気預測中心の孫明徳主任は、情報通信関連は台湾に、電子製品以外はメキシコとベトナムに受注が向かうと分析した。

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