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判決にAI導入、「量刑は運次第」を改善


ニュース 社会 作成日:2019年8月6日_記事番号:T00085031

判決にAI導入、「量刑は運次第」を改善

 台湾では裁判官が被告に下す量刑に対し、「基準が一定でなく、結果は運次第」という批判が聞かれることが多い。こうした中、司法院は昨年末、過去の判例や専門家の意見を集約して、裁判官に量刑の参考情報を提供するシステムを構築した。今後、同システムに人工知能(AI)技術を導入して適切な量刑を導き出す機能を追加し、司法の信頼性向上を図る方針だ。

 司法院資訊処の王金龍処長は飲酒運転に関する裁判を例に挙げて説明した。量刑の参考情報を提供する現行のシステムでは、▽呼気中アルコール濃度▽乗り物の種類(バイク、乗用車、トラックなど)▽摘発された場所(一般道、高速道路など)▽逃走の有無▽累犯かどうか──といった13項目にわたる情報を手動で選択する必要がある。今後、AIが導入されれば、判決書の中の量刑に関わる要素が自動的に認識され、これを考慮した量刑が提案される。

 こうした量刑の「自動算出システム」について法曹界は、「出来の悪い裁判官が恣意(しい)的ででたらめな量刑を言い渡す事態を防ぎ、同様の裁判における量刑を一致させることができる」など歓迎する声が多数を占めているようだ。

 ただ一部では、「システムは過去の判例が基になっており、未来の案件の参考になるか疑問が残る」、「量刑の軽重は裁判の核心であり、あくまで参考にとどめ、絶対視すべきではない」と慎重な意見も聞かれる。

 同システムは現在、裁判官が参考のために利用するだけでなく、インターネットを通じて一般にも公開されている。今後は同様の事件に関する判例が即座に入手できる機能や、一般人には理解不能な判決書の専門用語の上にカーソルを合わせれば、解説が表示される機能が追加される予定だ。市民にとって裁判をより身近な存在とする努力は評価すべきだろう。