ニュース その他分野 作成日:2019年8月15日_記事番号:T00085212
基本工資審議委員会(最低賃金審議会)は14日、2020年1月から最低賃金を時給で158台湾元(約533円)へと5.33%、月給で2万3,800元へと3.03%引き上げることを決定した。時給労働者の多い飲食業やコンビニエンスストアなど、サービス業が最大の影響を受ける見通しだ。15日付経済日報などが報じた。
最低時給は12年度以降、毎年4.35~7.14%引き上げられており、蔡英文政権が4年間に決定した引き上げ幅の合計は31.7%に達する。20年度の5.33%は特に大きいわけではない。
蔡政権での最低月給の引き上げ幅は合計約19%。青少年や女性の再就職者など時給労働者への優先的配慮を求める声に応じて、12年以降は時給の引き上げ幅がほぼ月給を上回ってきた。
スマート設備の導入加速
コンビニ大手の全家便利商店(台湾ファミリーマート)は、加盟店オーナーと共にコスト削減などに努めるとともに、スマート設備の導入加速で労働負担を削減し、労働生産性を向上させると対応策を説明した。
ある業者は、セルフレジスター、電子タグ、スマート自販機が労働負担削減に有効で、少子化への長期的な対応にもなると語った。別の業者は、サービス業は価格競争が激しいため値上げも困難で、経営がさらなる困難に直面すると指摘。営業時間の短縮や作業プロセスの簡略化で人件費を抑える以外に方法がないとのため息も聞かれた。
231万人に恩恵
労働部によると、最低賃金引き上げで231万6,000人が恩恵を受ける。最低時給引き上げでは台湾人労働者48万3,000人、最低月給引き上げでは台湾人労働者136万7,000人、外国人労働者46万6,000人が好影響を受ける見通しだ。労工保険(労働保険)や全民健康保険など、企業の法定コスト負担は年間152億2,900万元増加する予測だ。
産業団体、負担増を批判
産業団体の中華民国工商協進会(CNAIC)の林伯豊理事長は、最低賃金引き上げで企業のコスト増加は163億元に上ると主張。台湾全土に1万店あるコンビニではコストが8億元増加するとの試算を示した。その上で、廃業や操業停止に追い込まれる中小零細企業も出ると政府を批判した。
中華民国全国商業総会(商総)の頼正鎰理事長も、飲食業、コンビニ業者などの反発にとどまらず、物価上昇と閉店ラッシュが起こると主張。8年間で公務員の賃上げは6%にとどまっているのに、企業ばかりに負担が求められるのは不公平と断じた。
産業団体からは、政府は米中貿易戦争や、中国政府による台湾観光旅行制限など経済減速要因を重視しておらず、企業側の意見も聞かず、来年1月の総統・立法委員選挙に向けて労働者の歓心を買うことが引き上げの目的との批判も出た。
一方、労働団体、台湾労工陣線の孫友聯秘書長は、蔡英文政権の目指す2期8年で最低月給3万元を達成する目標は遠のいたと、労働者の立場から批判した。
学識者からは、便乗値上げを警戒する声も出ている。
引き上げ幅は、時給も月給も事前に予想された範囲内だった(14日=中央社)
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