ニュース 社会 作成日:2019年8月19日_記事番号:T00085288
新北市瑞芳区の山間部には「天空の城」と呼ばれる鉱山施設の遺構「十三層遺址」が存在する。新北市政府はその独特のたたずまいを生かして新たな観光スポットとすることに期待を寄せているが、一方で同地は土壌が重金属で汚染されているため行政院環境保護署(環保署)により立ち入りが規制されている。交通やごみの問題を引き起こす恐れから地元住民の反発もあり、妥協点の模索が続けられている。
十三層遺址は台湾版の近代化遺産だ。打ち捨てられた古い大型建物はどこかノスタルジーを誘う(新北市政府観光局ウェブサイトより)
十三層遺址は日本統治時代の1933年、同地を含む金瓜石鉱山の経営権を獲得した日本鉱業が建設した鉱山で、山の斜面に階段状に建物が張り出している。戦後、施設は政府系の台湾金属鉱業(台金)が引き継ぎ、約40年にわたり経営されたが、世界的な銅産業の衰退に伴い82年に操業を停止した。
十三層遺址はその後放置されたが、緑に囲まれた山の斜面にコンクリートの廃虚が並ぶ独特の景観が近年、「天空の城」と呼ばれるようになり、観光客の撮影スポットと化している。
新北市政府は十三層遺址を「世界文化遺産にもなり得る」と見込み、観光資源として活用したい考えだが、さまざまな問題が立ちはだかっている。
まず周辺の土壌からは、2010年に基準を超える重金属が検出された上、昨年には浄化が必要なエリアに規制レベルが格上げされた。地主の台湾電力(台電、TPC)はこれを不服として行政訴訟を提起したが、現在も係争中だ。
また、台金が69年に十三層遺址近くに建設した、製錬所から煙を排出するための配管設備3本は、全長が1,000メートルを超える世界最長のものとして知られる。この施設も長らく放置されてきたが、3年ほど前に「写真映えがする」と人気になり、一時は観光客が押し寄せて周辺道路が駐車する車で埋まり、地元住民が帰宅もできない状態となった。また観光客によるごみのポイ捨て問題も深刻化したため、TPCが進入禁止の鉄柵を建てた。
しかしこうした問題を回避した上で観光客を誘致する策として、TPCは今年の中秋節(旧暦8月15日、今年は9月13日)から夜間に十三層遺址を使ったライトアップを計画。地元住民からも「地域活性化に向けた光」として歓迎の声が上がっている。
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