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中国製品の台湾産偽装、6〜7月に摘発急増


ニュース その他分野 作成日:2019年8月21日_記事番号:T00085313

中国製品の台湾産偽装、6〜7月に摘発急増

 財政部関務署の20日発表によると、中国製品の原産地を台湾産と偽装するいわゆる「原産地ロンダリング(洗浄)」が疑われる事例が、6~7月の2カ月だけで9件摘発された。過去約1年間の摘発件数15件のうち6割が集中している。米中貿易戦争の過熱を受け、台湾経由で米国向け偽装輸出を試みるケースが増加したとみられ、関係者は、台湾産業界に米国から疑念の目が向けられることを警戒している。21日付経済日報が報じた。

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 摘発された貨物は▽自転車▽プラスチック薄膜▽コンピューター▽腕時計──など。中国から輸入されたステンレス製シンクに「メード・イン・台湾」と表示されていたり、中国製品に対して「実質的変更」のない再構成を施したのみながら「メード・イン・台湾」と記載した事例もあった。

 摘発された15件のうち、自転車の原産地偽装などの4件は、既に罰金処分が確定している。残りの事例については、経済部国際貿易局(国貿局)による調査が進められている。

 摘発品目に含まれた自転車業界からは、こうした手法は綱渡りのようなもので、偽装に手を染めていない業者も巻き込まれる懸念があるとして、政府に対策強化を求める声が上がった。同業界では米中貿易戦争を受け、輸出向け製品の中国から台湾への生産移転を進めているところだ。

 関務署関係者は、自由貿易港区、物流センター、保税倉庫での検査強化や、米国からの課税リスクが高い製品を中心に輸出入書類の突き合わせを行うと説明した。また、原産地不実記載への罰金を最高300万台湾元(約1,000万円)へと現在の10倍に引き上げる貿易法改正案が既に行政院会議(閣議)を通過しており、今後立法院での成立を目指す状況であることも指摘した。

「実質的変更」が必要

 関務署は、「メード・イン・台湾」への信用と貿易産業の利益を守るため、業者に関連規定の順守を喚起するとともに、輸出製品が「実質的変更」に該当するか事前審査を受けるよう呼び掛けた。

 原産地判定にかかる台湾での「実質的変更」の判定基準は、加工・製造などの前後で海関進口税則(税関輸入税則)で定める前6桁の品目コードの変更がある、または台湾での付加価値割合が35%以上となることなど。ごく小規模の加工、切り取り、包装作業などは「実質的変更」と認められない可能性がある。

 関務署はまた、米国には複数の原産地認定基準があるが、原産地が複数の国・地域にわたる場合、特に米税関・国境警備局(CBP)による最終的な実質的変更の認定基準に注意を払う必要があると指摘した。米国で中国製品と認定される可能性を避けるために、米当局に予備審査を求めることができる。

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