ニュース 社会 作成日:2019年8月21日_記事番号:T00085336
台北市大安区の温州街、羅斯福路、汀州路が交わるエリアは「温羅汀書圏」と呼ばれ、中国語圏で最も書店の出店密度が高いとされる。このエリアに最近、店員が1人もいない無人の古書店が出現した。近年のデジタル化に伴い、衰退が続く書店業界に革命をもたらすのか注目されている。
この無人書店は辛亥路沿いに位置し、店員だけでなく、店名さえもない。店先の看板には黄色い下地に書籍のイラストが描かれ、その上部に「BOOKS SELF-SERVICE」とだけ記されている。
店内には壁一面に本棚が設置されている他、木製の文机(ふづくえ)や休憩用のベンチが置かれ、クラシック音楽が流れている。壁面の「監視カメラで24時間録画中」の掲示がなければ、部屋のあるじが出掛けて不在の個人の書斎と勘違いしそうだ。
本棚には約1万冊の古本が並べられている。一般の古書店とは異なり、価格は50台湾元(約170円)と100元の2種類のみ。店員がいないため、代金は店内に置かれた灰色の箱に、良心に従って投入する仕組みだ。
この新しいスタイルの書店を開設したのは、近くで著名な古書店「旧香居」を娘とともに経営する呉明鑑さん。半世紀にわたり古書業を営んできた呉さんは、2年前に上海を訪れた際に無人書店を見掛け、台湾でも開設してみようと思い立ち、「旧香居」の近くに店舗を借りてオープンした。
娘の呉雅慧さんは無人書店の開設について、少子化で人手が少ない中、新たな経営方式の導入が可能化かどうかの実験と説明。「旧香居」に陳列するには適当でなく、従来、紙のリサイクルに送らざるを得なかった古本に「最後のチャンス」を与えたいと思いを語った。
「無人書店は採算が取れるのか」との質問に対し父親の明鑑さんは、1カ月目に代金箱に投入された額は10万元ほどで、経営的には「トントンだ」と答えた。
無人書店は現在12時間営業。店員がいることで感じるプレッシャーがなく、居心地がよいのか、何時間も本を眺めたり、友人とおしゃべりをしたりする客がいるそうだ。将来的に24時間営業に移行したいと考えている。「ホームレスのたまり場になるのでは」と懸念する声に父娘は「書店は人々に憩いの場を提供するところ」と意に介さない様子だ。
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