ニュース 商業・サービス 作成日:2019年8月22日_記事番号:T00085338
中国政府による台湾への団体旅行枠削減を受けて、中国人ツアーなど向けに宝飾品販売店などを手掛ける店頭公開企業、宝得利国際(CJWインターナショナル)が、9月から来年2月までの、いわゆる「無給休暇(実際には有給を含む)」実施に向け、従業員との協議に入った。実際に行われた場合、中国政府の今回の措置を受けての無給休暇は業界初となる。業界では、関連倒産が相次ぐとの懸念が広がっている。22日付経済日報などが報じた。
同社によると、8月のツアー客受け入れは約200グループと、従来の月間1,000グループから8割減少する見通しだ。業界団体、中華民国旅行商業同業公会全国聯合会(旅行業全聯会、TAAT)の李奇岳召集人は、中国人団体旅行客は7割減少すると予想している。
同社の従業員数は230人。従業員によると、会社側から20日に文書で無給休暇を実施するとの予告があった。最低賃金での週3日勤務になるとして、次の勤務先を探すよう勧めた他、無給での休暇取得や自発的な離職を求めているとされる。
同社の広報担当者は21日、飲食業への業態転換を計画しており、無給休暇実施も選択肢の一つと説明した。ただ、労働部などと協議中で、早期に業態転換して業績が回復すれば無給休暇を実施しなくてもよくなると説明した。
台北市政府労働局は、同社や関連企業、他の旅行業者からの無給休暇届け出は現時点でないと説明した。
宝得利は、売上高の7割を宝飾品販売、残り3割をツアー業務が占める。国民党から民進党に政権交代した2016年から3年連続で赤字を計上した。人員整理やマレーシア進出によって、昨年は赤字幅が縮小したものの、今回の団体旅行枠削減を大きな痛手と受け止めているようだ。
ワンストップはハイリスク
林佳龍交通部長は、中国でのツアー客募集から台湾での日程までをカバーするいわゆる「ワンストップ型」の旅行サービスはリスクが大きいと指摘した。ワンストップ型専門の宝得利の無給休暇計画で、同業他社への影響拡大も懸念される。
林交通部長はまた、秋・冬の台湾域内旅行補助実施の他、外国人観光客の台湾旅行促進で、中国人客の減少を補うと説明した。▽台湾▽日本▽韓国──などに渡航歴がある東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の国民に対するビザ要件緩和を進める他、苦境に立つ旅行業者への融資や税制上の支援などを行い、中国人客に過度に依存する状況の改善を促していく。
中国人観光客の割合は、過去3年間で40%から26%へと縮小した。
花蓮・台東から悲鳴
なお、中国人観光客の減少を受けて、東部の花蓮県や台東県の▽土産物▽宿泊▽飲食▽レンタカー▽タクシー──などの業者からも悲鳴の声が上がっている。
台東で大型サンゴ芸術品の販売を手掛ける業者は、3年前に約200人から約50人へと人員を削減したが、今回で将来が見えなくなったと述べた。別の関係者によると、花蓮のある民芸品販売店では、既に従業員に無給休暇を取得させているという。
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