ニュース 社会 作成日:2019年8月23日_記事番号:T00085390
衛生福利部中央健康保険署(衛福部健保署)の統計によると、台湾の病院で昨年、風邪や喉の痛みなど軽微な症状の診断に、コンピューター断層撮影(CT)や核磁気共鳴画像法(MRI)などの高度医療設備を使用した事例が約13万件にも上ったことが分かった。これを受けて健保署は、乱用の懸念があるとして病院に注意喚起を行った。
健保署の統計では、過去3年間に支払われた検査診断用の医療費給付額のうち、CT、MRI、超音波を使用したものが最大だった。CT、MRI利用の医療費給付額は年々増加しており、昨年は延べ428万人、178億台湾元(約605億円)に上った。
しかし、CTを利用した97万件の診断のうち約8%に当たる8万件、MRIを使った40万件の診断のうち約12%に5万件が、軽微な症状が対象だった。
病院別に見ると、軽症にCTが使用された比率は5~14%、MRIが使用された比率は9~16%が大部分を占めた。ただ、中には同比率が41%にも上った病院もあった。健保署はこうした機器の一部は放射線の問題もあり、慎重に使用すべきと注意を呼び掛けた。
衛福部の前身、行政院衛生署の元署長、楊志良氏は、高度医療設備の使用は医師の方針を尊重すべきとしつつも、大金を出して購入した設備の元を取ろう、またはもうけを出そうと考えて、使用が増える側面があるのではないかと指摘。リソースをいかに適切に使用するか議論すべきと提言した。
こうした指摘に対し、医療の現場からは、患者とのトラブルが相次いでいる中、短時間で正確な診断を下すことが困難な疾病もあり、正確を期すため高度医療設備の使用が増えていると反論の声が上がっている。
ある医師は、「CTやMRIによる検査の結果、軽症と判明したとしても、検査をしなければどうやって重篤な症状ではないと分かるのか」と語り、健保署の指摘は結果論にすぎないと不満をこぼしている。
こうした中、台湾医療改革基金会の朱顕光副執行長は、医療報酬の計算方法の基準を現在の診断回数から患者数に変更すれば、高度医療設備の乱用を防ぐことができると提案している。
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