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マイクロン、中科新工場に4千億元投資か


ニュース 電子 作成日:2019年8月26日_記事番号:T00085391

マイクロン、中科新工場に4千億元投資か

 DRAM世界3位、米マイクロン・テクノロジーが、中部科学工業園区(中科、台中市)に新たに工場2基を建設するもようだ。総投資額は4,000億台湾元(約1兆3,400億円)とされ、来年第4四半期にも次世代の先進製造プロセスでの試験生産を一部で開始すると伝えられる。半導体業界では、ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)に次ぐ2番目の規模の台湾投資案件となる見通しだ。業界からは、DRAMが供給過剰の中での大規模投資に驚きの声が上がった。26日付経済日報などが報じた。

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 マイクロン台湾法人は、台中での工場建設は認めたものの、投資金額や生産能力などの詳細についてはコメントを控えた。

 観測によると、マイクロンは中科の既存工場そばに「A3」と「A5」の2基の工場を建設する。A3工場は来年8月に完成予定とされ、来年第4四半期以降、最新の1z(12~14)ナノメートル製造プロセスでの生産を台湾でも開始する見通しだ。A5工場については、市場の需要を見て段階的に生産を拡大する方針とされ、月産能力は6万枚を予定すると伝えられる。DRAM世界首位の韓国・サムスン電子との差を縮める考えだ。

 マイクロンは、第5世代移動通信(5G)時代突入で加速が期待される▽人工知能(AI)▽モノのインターネット(IoT)▽スマートカー──向け応用拡大が、DRAM需要を喚起すると見込み、1zナノ製造プロセスでの生産拡大を決めたとされる。台湾に設置したDRAMセンター・オブ・エクセレンス(DRAM卓越製造中心)の設備更新、技術アップグレードも進める構えだ。

 業界関係者は、工場1基当たり1,000人の人材が必要となると指摘。シンガポールと台湾でDRAMの他、3次元(3D)NAND型フラッシュメモリーの生産拡大も進めると分析した。

 新工場2基の建設は、台中でのパッケージング・テスティング(封止・検査)工場設置に続く、マイクロンの大型投資案件となる。マイクロンは他に、傘下に収めた旧・瑞晶電子(レックスチップ・エレクトロニクス)の台中「A1」工場と、旧・華亜科技(イノテラ・メモリーズ)の桃園「A2」工場を擁する。同社はこのほど、組織再編により、両製造工場をマイクロン台湾董事長兼台中工場営運長の徐国晋氏が統括する体制に変更した。桃園工場の葉仁傑営運長が9月1日付の離職を予定するなど、十数人の中堅幹部が退職するようだ。

 DRAM市場では、供給過剰による価格下落が進み、首位サムスンと2位のSKハイニックスが減産を進めている。こうした中、日韓の貿易対立が韓国勢の生産に影響し、DRAM価格が反転するとの期待が出ていた。

相次ぐ投資、設備業者に恩恵

 マイクロンの新工場建設では、クリーンルームを手掛ける漢唐集成(UIS)が最大の恩恵を受けそうだ。UISは、マイクロンから450億元を受注している他、▽TSMC▽華邦電子(ウィンボンド・エレクトロニクス)▽力晶積成電子製造(パワーチップ・セミコンダクター・マニュファクチャリング、PSMC)──などが相次いで台湾での投資を拡大する中、手持ち受注が600億元分ある。

 この他、▽家登精密工業(Gudengプレシジョン・インダストリアル)▽鴻海精密工業傘下の京鼎精密科技(フォックスセミコン・インテグレーテッド・テクノロジー、fiti)▽閎康科技(MA-tek)──など、半導体製造装置関連や材料関連メーカーが恩恵を受けそうだ。

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