ニュース 社会 作成日:2019年8月26日_記事番号:T00085416
きょう8月26日は、地価高騰に抗議して数万人が台北市の忠孝東路で野宿した「無殻蝸牛(殻の無いカタツムリ)運動」からちょうど30年となった。同運動は台湾初の住宅問題の抗議活動で、家を買えなくなる不安感が多くの人を街頭に駆り立てたが、30年がたった現在、状況はより悪化しているようだ。
運動30周年を記念して、市民団体が若者が家を買える環境の実現を訴えた(26日=中央社)
中央研究院(中研院)の調査によると、台湾が高度成長期を迎えた時期に就職した1952~77年生まれの市民に比べ、78年以降に生まれた市民は平均収入が2割も下回る。
一方で、78年生まれが25歳を迎えた2003年に4倍程度だった住宅価格に対する世帯年収の倍率は、40歳を迎える18年には9倍近くに上昇。若い世代が「わが家」を手に入れることがますます難しい状況となっている。
なお、内政部が運営する不動産情報サイト「不動産資訊平台」によると、台湾の住宅賃料は過去4年半にわたり上昇を続けている。内政部の統計によると、6月の住宅賃料指数は102.68で、15年1月以降、連続54カ月の上昇となった。
一方、住宅価格指数は15年に100.77のピークを迎えた後は、ほぼ横ばいが続いている。また、台湾全土の住宅価格に対する1世帯当たりの可処分所得(中央値)の比率は、17年第2四半期の9.46倍をピークに下落に転じており、18年第4四半期は8.87倍に落ち着いている。
こうした中、多くの不動産業者から最近、「賃貸住まいの市民は家賃上昇が続く現状を考慮すれば、住宅価格の上昇が小幅に低下し、住宅ローン金利が低い今が購入のチャンス」と提言する声が聞かれる。
しかし、住宅問題に詳しい張金鶚・政治大学地政学系教授は「住宅価格が高過ぎるのは議論の余地のない事実」と強調。賃貸住まいの市民に家賃の上昇が圧力となっていることは確かだが、住宅を購入した際の頭金や毎月のローン返済を考えれば、家賃負担は比べるまでもなく軽いとの見方を示した。
張教授は一方、住宅は居住のための使用を中心とし、投機対象とすべきではないと指摘。政府はいわゆる囤房税(住宅買い占め税)などの政策的手段を用いて非居住目的の購入を規制し、価格の抑制を図るべきと提言している。
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