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台鉄のラッピング列車、ヤマネコがまるでヒョウに


ニュース 社会 作成日:2019年8月27日_記事番号:T00085442

台鉄のラッピング列車、ヤマネコがまるでヒョウに

 交通部観光局は今月20日、中部観光の振興策として彰化県から南投県を結ぶ台湾鉄路(台鉄)集集線で運行するラッピング列車を発表した。ところが、この列車に描かれているタイワンヤマネコ(石虎)が「ヒョウ」に見える、商業利用が認められていないフォントを使用しているといった問題点が相次いで指摘されている。

/date/2019/08/27/19kakomi_2.jpg問題のタイワンヤマネコのイラスト(中奥)。かわいらしい姿は見納めとなる(23日=中央社)

 観光局が今回発表したラッピング列車「国立集集美術館」は、米国在住の女性デザイナー、江孟芝氏にデザインを委託し、300万台湾元(約1,000万円)をかけて制作されたもので、集集名産のバナナの黄色を基調とした車体に、台湾での絶滅が危惧され、保護の対象となっているタイワンヤマネコのイラストを配し、車内で中部の歴史、産業、文化、芸術が紹介される内容となっていた。

 しかし、このタイワンヤマネコのイラストを見た一部の専門家から、耳のうしろの斑点、顔から背中にかけてのしま模様など特徴を全く捉えておらず、「まるでヒョウのように見える」と指摘する声が上がった。

 これを受けて江氏は23日、「時間がない中でタイワンヤマネコの図案を加えようと思い立ち、『Leopard cat』のキーワードで多くの画像素材サイトを検索して今回のイラストを購入して採用した」と説明。専門的な配慮が欠けていたとして謝罪した。イラストが江氏自身の作品ではなかったことも明らかとなり、かえって批判が激しさを増すこととなった。

 さらに、車内の説明文に使用されていた康熙字典体のフォントは、2013年に中国の企業によって買収された後、営利目的での使用が禁じていたことが発覚。これについて観光局は、デザイナーが選んだものだが、営利目的での使用が認められていないことには気付かなかったと釈明した。しかし、こちらも公的機関にも関わらず権利関係を明確にしていなかったことに強い批判が集まった。

 結局、タイワンヤマネコのイラストについては特徴を生かしてデザインし直した図案に、フォントについては権利問題のないものに変更することが決まった。早ければ9月20日までに修正作業を終え、運行を開始する予定だ。

 観光局はまさか「炎上商法」を狙ったわけではあるまいが、図らずも大きな注目を集める結果となった。