ニュース 社会 作成日:2019年8月28日_記事番号:T00085468
玉山商業銀行(Eサン・コマーシャル・バンク)の幹部を務めていた男性が、部下の行員に全民健康保険カード(健保カード)を提出させ、診療所を開業する親族による療養費詐欺に手を貸していたことが明らかとなり、検察が捜査を進めている。
玉山銀の雲嘉南(雲林・嘉義・台南)地区副総経理を務めていた黄昱凱容疑者は、その立場を利用し、長期にわたり複数の支店の行員に健保カードを提出するよう命じ、集めたカードを嘉義市で診療所「玉山診所」を開業するおじの黄訳輝容疑者に渡し、診療報酬の不正請求に利用させていた。
部下は仕事を失いたくないと考えて指示に従っていたが、一部の行員が良心の呵責(かしゃく)に耐え切れなくなり、今月、衛生福利部中央健康保険署(衛福部健保署)に通報した。
健保署は、まず退職した行員8人とその家族に聞き取り調査を行い、通報の内容が事実であることを確認。その上で、23日に玉山銀の▽嘉義支店(嘉義市)▽東嘉義支店(同)▽佳里支店(台南市)▽新営支店(同)──に職員を派遣して在職中の行員から聞き取りを行った。
その際、健保署職員は東嘉義支店で昱凱容疑者に遭遇。同容疑者はその場で過ちを認め、責任を負うと表明した。その後、訳輝容疑者も同支店を訪れ、行員の健保カードを使用し、診察したように装って健保署に報酬を請求していたことを認めた。
その後の調べによると、「玉山診所」は開業後20年間で玉山銀の行員110人を2,800回以上も診察した記録が残っており、医療費は合計約140万台湾元(約470万円)に上った。このうち、どの程度が不正請求されたものかは現時点で不明だが、これまで聞き取りを行った元行員15人のうち、14人は診察を受けた事実がなかった。
今回の事件については、詐欺と文書偽造の疑いがあるとして嘉義地方検察署が捜査に乗り出しており、今後、容疑者らに出頭を求める予定だ。
なお、訳輝容疑者は、不正に得た報酬を返還するとともに、10万元を健保署に寄付すると表明。事件発覚後に自ら申し出て玉山銀を離職した昱凱容疑者も寄付を申し出ている。
ただ、訳輝容疑者が療養費詐欺を働いたのは今回が初めてではなく、2000年にも罰金と業務停止処分を受けており、本当に反省しているかどうかは不明だ。
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