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マイクロンが台湾投資660億元、微細化促進


ニュース 電子 作成日:2019年8月29日_記事番号:T00085475

マイクロンが台湾投資660億元、微細化促進

 経済部投資審議委員会(投審会)は28日、DRAM世界3位の米マイクロン・テクノロジーによる台湾子会社への増資案件、660億台湾元(約2,220億円)相当を承認した。外資の投資案件として今年最大規模だ。メモリー価格が供給過剰により下落する中、生産拡大はせず、製造プロセスの微細化に充てる方針で、台湾の研究開発(R&D)センターとしての役割も強化する。29日付工商時報などが報じた。

/date/2019/08/29/00micron_2.jpgマイクロンは、DRAMの微細化進展とともに、台湾へのさらなる投資拡大が期待される(26日=中央社)

 マイクロンは現在、台中の「A3」工場でクリーンルームなどの拡張工事を進めており、2020年第4四半期の完成を予定する。「A3」工場は拡張後、月産能力が各10万枚を超えるとされる台中の「A1」工場と桃園の「A2」工場とを合わせた面積となる。最新の1z(12~14)ナノメートル製造プロセスへの微細化を進めるとともに、次世代の先進製造プロセス導入の際の新設備増加にも対応できるようにする考えだ。「A1」工場と「A2」工場でも、量産中の1x(16~19)ナノから、1y(14~16)ナノ、1zナノへのアップグレードを進める。

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 他のメモリー大手が新工場建設による生産能力拡大を進めてきた中、マイクロンはクリーンルーム増設など微細化を見据えた既存工場の設備拡張に注力しており、各工場でのウエハー投入量は現状を維持する構えだ。マイクロンを巡っては26日、台中で4,000億元を投じて生産を拡大すると伝えられたが、同社は工場新設を否定していた。

 一方、マイクロンが台中に新設したパッケージング・テスティング(封止・検査)工場は既に量産に入った。前工程で導入済みのビッグデータによるディープラーニング(深層学習)など人工知能(AI)によるスマート製造を利用する、台湾唯一の自動化封止・検査工場だ。マイクロンは、パッケージング・テスティング需要の約半分を自社で満たしており、外部委託との割合を柔軟に調整しているようだ。

 マイクロンのAI製造プロセスは、生産量10%増、品質35%向上、歩留まり率成熟目標25%短縮を実現している。

 また、マイクロンが台湾拠点で運営するDRAMセンター・オブ・エクセレンス(DRAM卓越製造中心)は、生産能力の向上、技術・製品の研究開発に取り組んでいる。

 マイクロンの台湾投資額と従業員数は外資として最大で、従業員数は今年末には8,000人へと、昨年末の約7,000人から増加する見通しだ。

EUV採用時期を見極め

 マイクロンは既に、1zナノ製造プロセスの台湾工場と日本工場での導入を進めているが、今後はさらに微細化した1αナノ、1βナノ、1γナノ製造プロセスの研究開発が加速することになる。微細化後に、より生産コスト増加が予想される中で、極端紫外線(EUV)リソグラフィー技術の採用時期を探っている。

 マイクロンはこれまでに、DRAM産業の直面する三大課題として▽ビット数成長率の維持▽微細化後の生産コストや利益確保▽増大する設備投資──を挙げていた。

【表】