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郭台銘氏、総統選に無所属で立候補へ


ニュース 政治 作成日:2019年9月2日_記事番号:T00085519

郭台銘氏、総統選に無所属で立候補へ

 2日付聯合報によると、郭台銘(テリー・ゴウ)鴻海精密工業前董事長(国民党)が総統選に無所属で立候補することを決心したもようだ。柯文哲台北市長(台湾民衆党)、王金平立法院長(国民党)との連携で、第三勢力として民進党、国民党の二大政党に挑戦する。来年の総統選は、国民党陣営が分裂して敗北した2000年以来、20年ぶりに有力3候補によって争われる可能性が高まった。

/date/2019/09/02/00top_2.jpg郭氏が国民党からの除名処分が予想されてもあえて出馬するのは、中華民国の方が国民党よりも価値が高いとの判断に基づくものだ(1日=中央社)​

 柯氏は郭氏を支持しつつ、民衆党の立法院での議席数拡大に注力する。比例代表と選挙区で擁立する候補者は、郭氏と王氏も提案権を持つ。王氏は支持者の動員で協力する。

 選挙戦での国民党公認候補、韓国瑜高雄市長への対策としては、韓氏の人気が下落していることから、郭氏が自身を「リリーフエース」とアピールして候補交代を狙う。うまく行かない場合は、韓氏当選の見込みは薄いとして、国民党支持層および中間層の有権者に自身への投票集中を呼び掛ける。

 郭氏が勝利した場合、柯氏が民進党支持層の取り込みを図る。民進党の蔡英文総統が勝利した場合は、郭氏は敗北の責任を呉敦義国民党主席に負わせ、党改革に取り組むべく主席就任を狙う。ただ、蔡氏再選ならば、郭氏は国民党陣営を分裂させた戦犯との汚名を着ることが確実なため、党主席を目指すシナリオは甘い幻想にすぎないかもしれない。

「総統になれば」

 郭氏は1日、台北市内で行った講演で「もし私が中華民国の総統になれば」と語り、「台湾は米中貿易戦争で米国の代理人になっていないか」と蔡政権批判に力を入れた。また、ペアを組む副総統候補として侯友宜新北市長の兄で高雄医学大学附設医院の侯明鋒院長を想定しているとのメディア報道について、「彼は絶対に合う人選だ。良い医者は柯市長と同様、国を救うことができる」と記者の質問に回答。これらの発言は、総統選に立候補する意志が完全に固まっていることをうかがわせた。

出馬断念工作も失敗 

 郭氏に対し韓氏は同日、「われわれは一つの大きなファミリーだ。一緒に肩を並べて戦おう」と呼び掛けた。党分裂で敗北した20年前の二の舞を懸念しての発言とみられる。ただ、郭氏の事務所は「韓氏とペアを組むことはあり得ない」との緊急声明を発表した。

 呉国民党主席は同日、郭氏との会談に向けて連絡を取っていることをメディアの質問に明らかにした。郭氏陣営は「必ず会うが日時は未定」と応じたが、会わない可能性もある。関係者によると、国民党は郭氏の義理の姉である台湾積体電路製造(TSMC)創業者、張忠謀(モリス・チャン)氏の張淑芬夫人や、呉主席の友人を通じて出馬しないよう働き掛けを行ったが、郭氏の意向を覆すことはできなかったという。

 国民党は郭氏が無所属で出馬、王氏が支援に回った場合、党規違反で2人を処分する方針を既に明言している。